報告

第31回基幹研修3&第32回更新研修

第31回基幹研修Vと「第32回更新研修」を大阪人間科学大学 庄屋学舎(大阪府)にて開催しました。日程は、基幹研修3が11月26日(土)・27日(日)、更新研修が11月27日(日)でした。ここでは、各修了者から報告記事を掲載します。


<第32回更新研修>
     
荒田講師による講義 演習の様子 代表者による修了証書授与

・ アイデンティティへの振り返りと志気を求めて

新生病院(兵庫県)//経験年数20年 佃正信
(第32回更新研修修了者)

 冷たさに拍車をかける降雨の中でしたが、120名を超える受講者が集まり11月27日に行われた大阪での研修に参加しました。1年早く受講したにもかかわらず、前回の岡山県での更新研修以来の再会もあり、関西圏域の多くの同志にも会えたことで、参加した意義の半分は実ったような感覚を持ちながら前半の講義を聴講しました。私の席は最前列で講師である荒田先生の目の前であったことから、本記事のご指名に与った理由の1つなのかもしれないとお受けしました。荒田先生には、度々兵庫の地にもおいでいただきご指導を頂いてきましたが、この度は1つ1つの話題に「託される気持ち」を込めてジンジン感じる「熱意」を感じました。ソーシャルワークの歴史を追述しながらY問題にも触れられました。そのY氏にも自らお会いされ向き合いながら自問自答されていく中で、後継に伝えなければと「精神障害者と地続きにいる対象であるということ」「関わりながら自己実現の模索を続けること」「自分の弱さを受け入れること。自分を許すこと。自己覚知が大切」「背負い込むことや人生を引き受けることはPSWの専門性ではない」「自分を知ることは他者から教わるということ」「自分との折り合いも、他者との折り合いの程度しかできない」「価値志向性」などの言葉を頂きました。またご自身の悲痛な体験を通しての思考や態度の変化や、障害のある学生との体験を通して気づかれたことなど、事象に向き合う中での事実を題材に、分かりやすく、そしてゆっくりと言葉を砕き思いをのせて頂いたその時間は、大変貴重なものでした。

 後半のスーパービジョンや演習では、事前提出したものを題材に7名のグループメンバーの1人として参加しました。経歴や現在の職場など変化に富んだ方々とのつながりは、やはり魅力的なものでした。それぞれに持ち寄った事例は、各人にしか分からない環境やジレンマにある状態にあるとは想像しつつも、共有できる仲間となり自然と輪になり笑顔や頷きが生まれる独特な空気感を呼び、非常に心地よく学びとなりました。

 経験を重ねることで、実は孤独(狭く)になっている部分も実感していた私としては、同志につながり元気を頂き、そして「PSWであり続けたい」との思いを正すきっかけを頂きました。グループの皆さん、来年9月には大阪大会でお会いしましょう。最後になりましたが、講師の先生方や準備下さった役員の皆様、大変お世話になりました。ありがとうございました。


<第31回基幹研修3
     
富澤講師による講義2 会場の様子 演習の様子

・ PSWとしての視点を維持するために

(福)芦山会 サニーワークホーム(福井県)/経験年数13年 樽本博吏
(第31回基幹研修3修了者)

 普段の実践は泥臭いものです。感情的になりそうになったり、関係者の意見が調整しにくかったりします。日々起こる出来事に、自分の価値観が見えにくくなり、ともすれば組織の価値観に流されている事にも気が付きにくくなっていきます。

 グループワークでも、「退院支援が施設のあてはめ作業になってしまっている」「障害者スポーツについて社会の認知を得たいが、思うような成果が出ない」などの話が出ていました。このような葛藤の状況では、自分のしていることの意味をとらえるのが大事、だという話になりました。

 冒頭に述べた通り、日々の実践は思うに任せないことの連続です。常に思うような結果はついてきません。日々の実践に必要なのは、仕事のプロセスの一つひとつを意味あるものとして、PSWの業務としてとらえることです。そして、その意味づけをするための視点を持つことです。それはテキストをただなぞることで身につくようなものではなく、日々の振り返りと学びを照らし合わせながら育てていくものです。

 グループでは、これらのことが「組織と実践との食い違いや、成果がでない長期戦を戦い抜くために必要」「ワーカーの実践を発信していくためにも、自分のしていることの理解が必要」等と話されていました。また、これらの自分の振り返りのツールとして業務指針を活用することも必要だと思いました。

 研修に行くとこのように「ああ、これ大事だよな」と思います。今回もそうでした。しかし、こうやってたまに再確認するのではなく「維持していく」仕組みが必要だと感じました。自分がだらしない人間なので、人に話したり、人の話を聴いたりすることでようやく考えるのが現実です。もっとも、PSWの専門性は個人が素質として備えているものではなく、相手との関係性において現れてくるものだと思っているので、話すことで自分の視点を確認する作業はPSWとして必須の営みなのかもしれません。そういう意味でも、県協会の活動を大切にしたいと思っています。研修を含めた活動を、もっと気づきが広まるような、もっと参加しやすいものにしていきたいと思いました。
 末筆ながら、グループメンバー・講師・事務局の皆様ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。


※ご報告いただいた方のご所属名と経験年数は、研修受講時の情報で掲載しています。


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