報告

第25回基幹研修23&第24回更新研修

「第25回基幹研修(23)」と「第24回更新研修」を兵庫県私学会館(兵庫県)にて開催しました(開催案内)。日程は、基幹研修2が2014年10月12日(日)、基幹研修3および更新研修が2014年10月12日(日)、13日(月・祝)でした。ここでは、それぞれの修了者から報告記事を掲載します。


<第25回基幹研修3・第24回更新研修>
     
☆講師による講義1 会場の様子 基幹研修3全体会
     
基幹研修3代表者による修了証書授与 更新研修演習の様子 更新研修の皆さん

・ 仲間の存在に支えられて

しょうがい者生活支援センターふらっと(香川県)/経験年数25年 詫間 佳子
(第24回更新研修修了者)

 台風19号が接近し、「行ったら帰って来れないかも?」という状況の中、協会Webでは「どうぞ、お気をつけてお越しください。」とのお知らせ。これは私達の自己決定を求められているのか?等と、香川から基幹研修3に参加する仲間と話しながら、神戸入りしました。しかし、台風上陸など何のその。会場である兵庫県私学会館は、全国各地から集まった受講生達の熱気であふれていました。

 2日間にわたる各講義については基幹研修3と共通であり、荒田寛先生の「精神保健福祉士の専門性3」、齊藤晋治先生の「精神保健福祉制度・政策論2」、美藤早苗先生の「精神保健福祉士の実践論3」と続きました。先生方からは、それぞれの現場経験、精神保健福祉士としての実践から、私たち受講生に伝えたい思いを強く感じとりました。
 荒田先生からは、精神保健福祉士としてのかかわりを共時性という言葉で表し、ともに生を支えあい成長しあうことを目的として、学びあい、支えあうという相互作用を伴った関係にあるとのお話を伺いました。
 齊藤先生は、この度の法改正による保護者制度の変更を例としながら、そこから何を課題として考えるのか、またケースの課題をいかにして社会化し、地域レベルの課題とし、さらには制度政策につなげていくのかといった講義をされ、制度・政策を身近な課題として捉えることができました。
 美藤先生は、丁寧なレジメを作って下さり、「改めて自身の実践を振り返る」との副題をつけられておられる通り、テキストに沿いつつも、ご自身の実践や考えを織り込みながらお話頂きました。誠実な語り口に共感するとともに、私自身もこのように自身を振り返り、自分の言葉で伝えられるようになりたいと思いました。

 研修を締めくくる演習3、ピアスーパービジョンは、更新研修受講生で、4グループに分かれ行いました。更新研修だけあって、皆さん中堅以上の方々で、精神保健福祉士として自身の現状を振り返り、どうあるべきか葛藤を伴ったレポートでした。それだけに、もっと時間をかけて丁寧に、検討、振り返りができるとよかったと残念でもありました。
 そして今研修中、いちばん盛り上がったのが、一日目夜の懇親会だったでしょう。グループスーパービジョンさながら、ある(・・)テーマについて意見をたたかわせました。さすが精神保健福祉士!と感じたひと時でした。

 帰りは、予想的中!?台風直撃で瀬戸大橋を渡ることができず、岡山で、もう一泊することになりました。台風に煽られるように、会場を早々に後にしたため、研修でお世話になった皆さまには、十分なご挨拶もできないままだったことが唯一の心残りです。この場をお借りし、講師の先生方はじめスタッフの皆様、研修でご一緒した皆様に、お礼を申し上げます。また5年後?にお会いすることを期待しています。ありがとうございました。


・ 第25回基幹研修Vを受講して

医療法人社団恵宣会 竹原病院(広島県)/経験年数8年 川本温子
(第25回基幹研修3修了者)

 講義1「精神保健福祉士の専門性3」では 荒田寛先生より、協会の歴史とご自身の実践経験を交えながら、精神保健福祉士の専門性についてお話いただきました。
 ケースワークのみにとどまるのではなく、ソーシャルワーク、ソーシャルアクションを行うことが専門性の一つであることを強調されていたように思います。クライエントのニーズに対し、既存の社会資源にだけつなげて、サービスにクライエントを合わせるというのではなく、その人の本当に必要な資源につなげていくことが必要であると話されていました。また、対象者の理解、専門的視点、生活者の視点、自己覚知、自己の実践を内省し振り返ることの大切さ等についてもお話いただきました。

 講義2「精神保健福祉制度・政策論2」では齊藤晋治先生より、現状を捉える3つのレベルとしてのミクロ・メゾ・マクロについて、制度・政策論をミクロからマクロ的にとらえていく視点などについてご説明いただきました。
 制度についても、熟読し内容をしっかり吟味する必要性をお話されました。例として、医療保護入院の法改正の際の、厚労省のQ&Aについて、質問の答えをなしていない項目等があることを指摘されました。

 講義3「精神保健福祉士の実践論3」では美藤早苗先生より大学卒業後、精神科病院に初めてのソーシャルワーカーとして勤務された経験や、保健センターで、精神保健福祉士という立場で勤務されていた時に感じた、専門職間での葛藤や、作業所の立ち上げの際に近所の住民から反対があったことや、阪神・淡路大震災を経験されたことなどお話いただきました。

 講義では、精神保健福祉士の大先輩である講師の先生方から、ご自身の貴重な経験もお話いただき、大変参考になるとともに、みなさんがやってこられた実践を自分自身はできておらず、反省することが多々ありました。みなさん共通して地域や制度に働きかけていくこともPSWの役割であるということを話されていたと思います。

 グループワークではいろいろな所属の方とお話しできる良い機会となり、他の機関のことが知ることができました。またみなさんも日々葛藤を抱えて業務に従事されていることがわかり、自分だけではないのだなと思い少し心強くなりました。業務内容や所属は違っても大切にすべき共通する点に我々の専門性があると改めて感じることができました。本研修を今後の糧として、また頑張っていこうと思うことができました。


<第25回基幹研修2
     
☆講師による講義3 演習の様子 代表者による修了証書授与

・ 日常の実践の振り返りと仲間との出会い

社会福祉法人てりてりかんぱにぃ(京都府)/経験年数11年4ヶ月 下村洋介
(第25回基幹研修2修了者)

 兵庫県で行われた基幹研修2を受講しました。以前1を受講してから数年が経過したこと、そして都道府県を超えた精神保健福祉士のつながりの場を求めたのがその動機でした。

 専門性、政策論、実践論の各講義では講師の上田さん、齊藤さん、村上さんから、それぞれの実践を通して感じられている精神保健福祉士としての理念や価値といったことに触れるお話を伺えました。援助関係、自己覚知、自己決定、権利擁護…言葉として並べるとごく当たり前でありながら、実践するは易くないことばかり。講師の方々のお話を聴きながら、11年ほど前、この仕事に就いたばかりの時に、ある講演会で聴いた尾崎新先生の「揺らぐことのできる力」のお話を思い出しました。「患者さんと一緒に葛藤し試行錯誤すること」「患者さんが課題にぶつかった時に援助者が自分の人生を振り返れる力を持つ」というお言葉は今も忘れられません。今回の研修でも「自分が抱く違和感を大切にすること」といった上田さんのお言葉など、精神保健福祉士としてのアイデンティティに揺らぐ自分を再度検証するありがたい機会となりました。

 そして、やはり、こういう全国で開催される研修の醍醐味は、都道府県を超えた仲間との出会いです。研修の最後には演習として全国から来られる精神保健福祉士とのグループワークがあり、今回も大切な出会いの場となりました。グループワークではそれぞれから自らの実践とそこでの迷いが話されていきます。私からは地域定着支援をする上での他機関、他職種との連携の難しさを話しました。悩む気持ちを受け止めてもらいつつ、「私だったらこうするよ」などの助言をいただき、多くの気づきを得ることができました。働いている場所が違うだけに利害もなく、そして同じ精神保健福祉士としての価値や倫理を共有しているからこそ、こうして安心して話せる時間はとてもありがたいものです。

 関わりで迷い悩む時こそ、足を止めて率直にそれを口にすることが大切です。自分の実践を振り返り、きちんと検証するのは難しいことですが、それを皆が我がこととして受け止め感じ考えてくれることのなんと安心でき勇気を得られることか。そして、また次の日からの実践に元気をもって臨むことができます。
 最後になりましたが、講師の皆さん、研修委員の皆さん、事務局の皆さんには、台風の近づく中にもかかわらず、学びと元気を得る機会を作っていただいたことに感謝しております。


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