「第10回更新研修」を、2012年8月4日(土)、5日(日)の日程で、オルガホール(岡山県)を会場に、「第12回更新研修」を2012年8月25日(土)、26日(日)の日程で、鹿児島県市町村自治会館(鹿児島県)を会場に開催しました(開催案内)。それぞれの修了者からいただいた報告記事を掲載します。
<第10回更新研修(オルガホール(岡山県)> | |||
会場の様子 | 星講師による講義3 | 演習の様子 | 代表者による修了証書授与 |
けやき通りメンタルクリニック(岡山県)/経験年数8年 堀家 康子
8月4日〜5日に岡山市で行われた更新研修に参加しました。当日、岡山市はお祭りで街には祭りの衣装を着た人も多く、熱気にあふれた熱い中での開催となりました。参加者には中四国の方が多いかと思っていましたが、北は関東、南は沖縄まで遠くから研修を受けに来ており、皆さんの熱心さにびっくりしました。また、参加者の中には懐かしい顔もあり、仲間の近況を聞き、多くの仲間がいることを再認識することができました。
事前課題では事例を考えるに当たり、提出したケースだけに留まらず、自身の活動を振り返ることができ、自身が何を考えて日々活動し、何を問題と考え、取り組んでいるのか考え直すことができました。しかし事前課題を終えた後、自分の活動は職場やクライエントから求められる活動に終始していないか、もっとPSWとして広い視点で活動しないといけないのではないかと自身の反省すべき点ばかりが頭に浮かび、そのような中での受講となりました。
講義では先生のお話と自身の感じていることや悩んでいることを重ねながら振り返り、自分の課題を整理していくことできました。現時点で自分自身が反省し、変えていくべき点とPSWとして悩み続けるべき点があるように思いました。自己覚知をしつつ、見て見ないふりをしている部分を再認識したように思います。ソーシャルな視点で活動し、政策・制度へとつなげることは大変なことのようですが、一人ひとりのクライエントの生活を考えていく中で積み重なったものであり、少し身近に感じることができました。一人で何かを変えようということは難しいですが、まず自分の言葉で問題を整理し伝え、問題を共有できる仲間を増やしていくことから始めたいと思いました。
演習や事例検討のグループで、私は経験年数がいちばん浅く、先輩方の話を聞かせてもらい学ばせてもらうことが多くありました。幅広く物事を知る努力をされ、自分なりの見解や意見をはっきり持っておられ、支援についても価値観の柔軟性や広さを感じることができました。また各々のグループで検討している事例は違っていても、まとめで話される内容はどれにも共感でき、PSWの価値や倫理があるからだと思いました。
更新研修は幅広い経験年数の方がおられ、他機関のPSWの考えが聞ける貴重な場となりました。先輩方の中で自分自身が研修の獲得目標に到達できているのか不安な部分もありますが、研修で感じたことを日々の実践に活かし、成長していきたいとモチベーションを上げることができました。
<第12回更新研修鹿児島県市町村自治会館(鹿児島県)> | ||||
開講式 | 岡田講師による講義1 | 演習の様子 | 代表者による修了証書授与 |
医療法人回生会 相談支援センタークローバー/経験年数9年 三角 淳子
私は、相談支援専門員として業務していく中で、病院と違い大きな組織や医師に守られないため、所属や精神保健福祉士(以下、PSW)自身の責任と役割、PSWの倫理をより明確に持たなければいけないと感じています。今回の受講は業務の振り返りと研鑽をする良い機会になりました。
講師の方々は、以前からお世話になっている岡田洋一先生と今村浩司先生、実習指導者講習会の講義で印象的だった西銘隆氏でした。岡田先生は、米国黒人公民権運動のキング牧師の名演説に触れ、精神障がい者やハンセン病、水俣病患者の人権擁護と復権の活動はそれと同じであること、当事者は初めて会ったPSWがPSWの代名詞となると話されました。今村先生の制度・政策論の講義では、ご自身の経験を含めた内容で分かりやすい説明に福祉と医療の動向を把握することができました。「制度は使っていくもの、制度を変えることもできる。」その協議の場の一つに、相談支援事業で設置されている自立支援協議会があると話されました。お二人の話を聴いて、PSWの存在意義と役割の大きさに気付き、当事者の声を直接行政へ伝える場、法の不備や福祉の向上を訴え改善を図る自立支援協議会にするために運営方法を見直す必要があると感じました。西銘氏の講義は、テキストの内容もさることながら先生の実践報告が心に響きました。職責の中でPSWが行うアセスメントを含めた電話相談、家族の疲弊や不安への支援をする意味など、非常に共感できました。また、県PSW協会としての活動、職場や協会会員へのスーパービジョン活動の報告は、自身の新たな取り組みのヒントになり、「私たち自身が武器だからこそメンテナンス(健康管理)、磨かないと(研鑽)いけない」「自分の体(健康)は自分で守る」と話された西銘氏の言葉は、業務や自己覚知を進める中で苦しんでいた私の視界が明るくなる言葉でした。心身が健康でなければ当事者の心強い道具にならないですね。
演習、事例発表はピアスーパービジョンの意味合いを含めたもので、経験年数や職場、役職、受講目的の違うPSWがグループとなり、日頃の業務や戸惑いを振り返りました。「『ソーシャルな視点』とは」について意見交換しましたが、多忙であっても忘れてはいけない大切なこと、ソーシャルアクション、PSWらしいネットワークの構築、自身の強みを自覚すること、なによりPSW自身が当事者の資源である事を共有できました。病院や保護観察所、相談支援事業所所属のメンバーで構成されたグループで行った事例検討では、基礎知識が共通でないことに気付くいい機会になりました。所属によってPSWの強みが違うこと、情報は待っていてくるものではなく、積極的な情報収集が必要なのだと感じました。
今回の受講で改めてPSWであることを誇りに思い、社会的使命を受けていることに喜びを感じています。職業として関われるものの大きさを実感することができました。私自身がそうでないように、当事者に完璧を求めず共に悩み前に進む支援をこれからも続けていきたいと思います。また、当事者の人権擁護と社会的復権は最大の役割であり、所属した場所によって支援内容に違いはあっても、私たちが当事者を尊重することを妨げる立場にならないよう仲間と確認する機会が必要だと感じました。ピアスーパービジョンのお陰で自己評価を高めることができましたし、この2日間でケースワーク、コミュニティワークへ向き合うエネルギーチャージをすることができて元気になりました。最後に、気づきを与えて下さった3名の講師と懇親会の中締めや寄稿の機会を与えて下さった先輩方へ感謝を申し上げます。先輩、次回は無茶ぶりでなく予告を切望します。
※「障害者」表記につきまして、本稿では、執筆者の記載のとおりに掲載しています。