2010年、厚生労働省委託事業として、全国12ヵ所(講師向け講習会含む)において「精神保健福祉士実習指導者講習会」の実施予定をたてました。東北地方太平洋沖地震の発生を受けて宮城会場では中止せざるをえませんでしたが、11ヵ所の地域ではすべて講習会を終了しました。
ここでは、2月19日(土)、20日(日)に、沖縄国際大学を会場に実施した講習会について、修了者からの報告記事を掲載します。
沖縄会場 | ||
講義の様子 | 真栄平講師 | 演習の様子 |
医療法人社団輔仁会 田崎病院(沖縄県)/経験年数10年 備瀬 恭子
「今のあなたの立場で、あなたに出来ることを精一杯やってください。いい出逢いを。」
私は2000年に大阪で実習をしました。その時の担当者が実習ノートに書いてくれたコメントの一部です。大学まで違う分野の勉強をしていた私は、実習前から、そして実習中も不安だらけでした。とある出来事をきっかけに精神保健福祉士に興味を持ち学校に行き始めたのですが、福祉の勉強をずっとしてきた他の学生に引け目を感じていました。そんな私の心の支えは、実習ノートでした。「適度な緊張で良かったと思いますよ」というコメントを読んで嬉しくなったり、担当者の方の失敗談を聞いて「この人も普通の人なんだ」と安心したり、勤務時間外の断酒会にいやな顔せず連れていってくれたり時には一緒にうどんを食べたり。緊張の連続だった私にとっては、担当者の一言一言が心の支えであり、安心でもあり、精神保健福祉士という仕事に対するあこがれにもつながりました。そして、あれから10年たった今でも、悩んだり「辞めたいな」とふと思ったりする時には実習担当者の生き生きとした笑顔を思い出します。実習というのは私にとっては、本当に「いい出逢い」と「刺激」の連続でした。
果たして、自分自身は、その時に担当者がやってくれたような恩返しが学生に対してできているのか。すごく申し訳ない気持ちでいっぱいになり、沖縄で開催された「実習指導者講習会」に、反省の気持ちを込めながら参加しました。
研修時間は2日間で14時間30分。朝から夕方まで、めいいっぱいの研修で、正直お尻は痛いわ、一番前の席で緊張はするわ、思った以上につらい時間でした。しかし多くの収穫がありました。特に印象に残ったのは「実習」をマネジメントするというものです。受け入れ前からそれが始まっています。
これまでの私は丁寧に実習生に関わっておらず、彼らがまわりまわって当事者の方たちにとっての利益につながるという考え方ができていませんでした。
私がそうであったように、実習生にとって私との出逢いが、精神保健福祉士に対する希望であり、未来への目標であり、そしてそのような実習生の想いが当事者の利益にもつながり、なんて素敵なんでしょう。「この仕事を目指して良かった。備瀬さんに出会えてよかった」と思ってもらえるような関わりをしていきたいと思いました。また今回は職場から多くの同僚が参加していたこともあって(※)、研修で収穫できた想いを共有できることが何よりの「収穫」だったと感じています。研修が終わった翌日、職場の上司や先輩、そして同僚達と研修の感想を言い合いました。「いろいろと変えていこうね」と励まし合えた仲間との「いい出逢い」も再確認できました。
今の私の立場で私にできることを精一杯、心をこめて、当事者の方、実習生、現場の仲間達とやっていこうと思います。
※今回の講習会では、当初各会場50名を定員としてきましたが、多数お申込みのいただき、各会場の広さの最大人数までお受けました。しかし会場によって参加いただける人数は変わりました。