報告

公益財団法人社会福祉振興・試験センター2015年度福祉人材養成・研修助成事業
課題別研修/精神保健福祉士の実践力を高める「業務指針」の活用〜日常業務における専門性の確認〜

 2016年度は、「課題別研修/精神保健福祉士の実践力を高める「業務指針」の活用」、愛知県会場、香川県会場の2地域で開催します。ここでは、各会場が終了するごとに修了者からの報告記事を掲載していきます。


<愛知県会場/名古屋笹島会議室、2016年9月11日(日)>
     
岩本講師による講義 演習の様子 代表者による修了証書授与

・ 『PSWの業務を「意識」すること・「整理・点検」すること

レインボーホーム(愛知県)/経験年数9年 杉丸 桂太

 9月11日、「精神保健福祉士の実践力を高める業務指針の活用〜日常業務における専門性の確認〜」に参加しました。
 私の職場は地域の中の障害福祉サービス事業所で、所属の事業所内においても法人全体においても精神保健福祉士が少ない中で仕事をしています。教員出身者や民間企業出身で、当法人で初めて福祉業界に携わるようになったという職員が多くいる中で、精神保健福祉士としての視点や専門性、業務を理解してもらうことに慢性的な困難さを感じながら日々の仕事をしていたため、今回の研修を通じて改めて自身の業務を整理・点検したいと思い参加させていただきました。

 講義の中で岩本講師から「利用者さんとかわす朝の挨拶はPSWの業務か、業務ではないのか?」という問いかけがありました。「どちらが正解というわけではない」という問いかけでしたが、これまで深く考えることもなく行っていた挨拶について改めて問われたときに、朝の利用者さんへの第一声から、PSWとしての「意識的な」声掛け、関わりが自分自身出来ていたのだろうかと振り返る機会となりました。

 また、業務指針の目的についての話の中で、精神保健福祉士の職域が病院や障害福祉サービス事業所、行政だけでなく、教育や司法の分野等へと広がっていく中で、それぞれの職場でのそれぞれの業務をバラバラに説明するのではなく、「精神保健福祉士」としての共通の言語をもって、共通の枠組みを示していかなくてはいけないと教わり、参加動機であった自身の業務の整理・点検を改めて意識することができました。それは、職場内の他職種に対してPSW業務を伝えるということにとどまらず、地域で暮らす、「精神保健福祉」業界に全く馴染みのない人たちに自分たちの仕事を正しく伝える、理解してもらうことにもつながっていくのだということも改めて感じました。

 研修で使用した「業務指針及び業務分類(第2版)」は随分前に手元にあったのですが、正直それを活用するどころか全く読み進めることもないままにしていました。
 今回の研修に参加させていただき、まずは仕事をする中で行う行動や言動がPSWとしての業務なのかを意識していくこと、また、「業務指針及び業務分類第2版」を活用して自身の業務を整理し、周りに伝えていくことを少しずつでもしていけたらと考えています。
 貴重な研修の機会をありがとうございました。


香川県会場/丸亀市保健福祉センター(ひまわりセンター)、2016年11月13日(日)>
     
富澤講師による調査報告 演習の様子 代表者による修了証書授与

・ 業務指針を理解し、活用する

社会福祉法人ひかりエコ・エンジニアリング会(香川県)/経験年数3年 山本 康子

 今回、香川県で『業務指針の活用』についての研修を受けられることを知り、大変嬉しく思い申し込みました。地方に住んでいますと受講したい研修があっても仕事の合間を縫って遠出するのは容易でなく、泣く泣く諦めざるを得ないことが多いのですが、地元での開催ということで難なく受講できました。ちょうど施設で来年度からの精神保健福祉援助実習生受け入れ準備をしているところでしたので、私にとって絶好のタイミングでした。

 当日は、岩本教授より業務指針の意義と『精神保健福祉士業務指針及び業務分類 第2版』についての講義を受け、富澤氏より業務の実態調査報告、古市氏・渡辺氏より業務指針の活用例と現場での実践報告を聴講しました。研修前に自分で業務指針を読んだ時、「業務が具体的に可視化されている!これは実習指導で活用できる!」と感動を覚えましたが、理解は浅かったと思います。今回研修を受けて、ようやく実践に結び付けるコツのようなものをつかめました。

 業務指針は地域・医療・行政の分野別に整理されており、分野ごとに実践上の指針が提示されているところがわかり易く、有り難いです。所属機関による機能や特性の違いから、自ずと展開方法や留意点には違いが生じるのですが、それぞれの業務を共通の枠組みに沿って丁寧に分類することで曖昧さから抜け出すことが出来、精神保健福祉士の実践の方向性が見えます。ひとり専門職の私はいつも迷ってばかりでしたので、身近にスーパーバイザーを得られたように心強く感じます。各業務を分類・整理する作業は大変なことで、作成委員の方々は本当にご苦労をされたことと思います。

 午後からのグループワークでは、業務指針に照らしながら事例を検討しました。事例場面に必要かつ活用できる部分はどこなのか、どのページを参照すればよいのかを考える作業を体験したことで、実践に結びつく力が身についたと思います。

 参加者からは一様に「参加してよかった」という感想が聞かれました。また、「業務指針は日々の実践に必要な共通言語なので、全ての精神保健福祉士が研修を受けるようにしてはどうか」という意見や、業務指針第2版のさらなる改善を期待する意見等が活発に交わされました。

 私は、今回の有意義な研修に参加できたことに心から感謝をしております。来年度から実習指導を行うにあたり、業務指針を有効に活用し、精神保健福祉士を目指す方々に専門職としてのあり方を伝えると同時に、自分自身の精神保健福祉士としての実践力を向上させていきたいと思います。


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