東日本大震災復興支援委員会 福井 康江
ホームページも一新され、遅ればせながら謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
また共に、昨今の災害にて被災されました皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。皆さまが少しでも穏やかに新年を迎えられていらっしゃることを、唯々祈るばかりです。
委員会として活動を始めてからまだ半年あまりですが、昨秋には福島にて念願でありました「復興支縁ツアー」を無事に開催することができました。非常に有意義な時間となり、豊かな交流が交わされ、委員一同にとって大きな喜びとなりました。ご参加いただきました皆さま、お力添えいただいた皆さまには、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
さて、東日本大震災の被災地では、震災後4度目のお正月を迎え、この春には復興5年目に入ることになりますが、報道によれば今なおプレハブの仮設住宅で約8万人の方々が暮らしています。そんな中でも、震災後誕生した子供たちが自分の足でしっかり歩くくらいに成長した姿を見ることはとても嬉しく感じています。また、阪神大震災後に生まれた子供たちは成人を迎える年となり、中越の震災からは10年の月日が経ちました。間違いなく月日は流れていることを今更に実感しています。と同時に、この時間が私たちにとっていかなるものであったのか、しっかりと振り返らなければならない時期になったとの思いにも駆られています。
先日NHKの放送で、神戸の復興住宅の問題について、「鉄の扉の中の孤独」と表現していましたが、ここ東北の被災地でも同じ問題が起きようとしています。良くも悪くも仮設住宅では、カラカラと横に開く軽い扉を介して人々の声が気軽に行き交う空間がありましたが、そこを出た後に暮し始めた住宅ではしっかりと個人のプライベートを守るために鉄製の扉が整えられており、外からも中からも様子が伺うことができません。「扉が、重いんだよね。」ふと、そんな声が聞こえて来るようです。ただ、この扉は特別なものでは決してなく、ごく当たり前に住宅に取り付けられているものではあるのですが…。思えばこの「鉄の扉の中の孤独」という言葉は、状況は違うものの私たちには特別な思いを持たせる言葉ではないでしょうか。再び被災地でこの言葉を噛みしめることがあるとは、思いも寄らないことではありましたが、また私たちが求められていると、感じないわけにはいきませんでした。
末篳となりましたが、3月には宮城県で、4月には岩手県でそれぞれ復興支縁ツアーを予定しています。間もなくお誘いのチラシも皆さまのお手元に届くと思いますので、どうかこの機会に是非東北の地へお越しください。そして、5年目の被災地を直に歩いてみてください。委員一同心よりお待ちしております。
*大船渡市三陸町越喜来では、NPO法人が中心となって浸水域に羊を放牧しており、地域再生の希望となっています。今年は未年。未来に希望を託せる年になりますように。