2011年12月26日 地域に根差した事業展開や組織運営を夢想して

 先日(12月16日)開催された社会福祉専門職団体協議会(※)の代表者会議に出席しました。その際、社団法人日本社会福祉士会では、都道府県社会福祉士会の連合会として公益社団法人に移行することを目指している話を伺いました。連合会になるということは、社会福祉士(個人)を会員とする組織から、都道府県社会福祉士会(団体)を会員とする組織に改組するという、実に大きな組織転換になることを感じました。

 同じ目的をもった一定規模の地域(都道府県や市町村など)の組織体が、おたがいの連絡や事業の調整などを図るため、全国あるいは都道府県などを単位とした連合体を設置して、地域の組織体と連合体との役割分担を明確にしている団体が多々あります。社会福祉分野でみますと、社会福祉法人全国社会福祉協議会(社会福祉法規定上は「社会福祉協議会連合会」)や社会福祉法人中央共同募金会(社会福祉法規定上は「共同募金会連合会」)、また、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会、公益社団法人全国精神保健福祉会連合会などが挙げられます。

 都道府県や市町村単位の一組織体として独自事業や組織運営を図りながら、一都道府県や市町村単位では取り組めない事業、例えば全国的な調査や情報収集・発信、研修や研究、政策提言など、都道府県組織の連合体を設置して取り組むことは機能的であり、合理的といえます。

 ご承知のように、本協会は精神保健福祉士個人を構成員とする全国単位で設置された社団法人です。事業展開や組織運営は、全国規模あるいは全国的視野・視点に基づいて取り組んでいます。また、本協会では、構成員を勤務先所在地や住所地の都道府県で区分整理した集合体となる都道府県支部を設置しています。都道府県支部は、本協会が定める規則・規程に基づき、本協会の事業展開や組織運営のために活動する内部機関になり、独自の判断で事業を展開することなどはありません。

 一方、都道府県には、それぞれ固有の会則等で運営されている都道府県精神保健福祉士協会等(都道府県協会)があります。その多くは精神保健福祉士の資格創設前から設立されており、名称、設立の経緯や時期、背景は様々です。また、会員要件も、精神保健福祉士を正会員とする団体や精神保健福祉士を含む精神科領域に勤務するソーシャルワーカーを会員とする団体など多様です。本協会の構成員でも、都道府県協会に入会している方もいれば、入会していない方もいます。

 本協会では、都道府県支部の活動や運営、事務局機能などについて、多くの都道府県協会に担っていただき、また、都道府県単位で実施する研修や全国統一模擬試験などの事業委託や、お互いの情報交換と共有、入会促進などの連携も図っています。都道府県支部の運営等に携わる多くの方が本協会と都道府県協会の双方に加入されていることから、都道府県支部長と都道府県協会長、都道府県支部運営委員と都道府県協会理事などを兼務されているところが少なくありません。

 そうした関係性などもあって、時として、本協会は都道府県協会の連合体的な役割を担うことがあります。ただし、本協会はあくまでも個人を構成員とした社団法人であるため、連合体的な役割や機能を担ううえで、法制度や定款上の制限、役員や事務局等の人的体制の限界、また、都道府県協会毎に会員構成が異なること、さらには、本協会が連合体的な役割や機能を担うことのコンセンサスを相互に確認する必要があることなど、悩ましい問題や難しい課題が少なくありません。

 過日の都道府県支部長会議では、一般社団法人に移行した福岡県、沖縄県、愛媛県の各精神保健福祉士(協)会の設立経過について、当該県支部長に県協会会長の立場でご報告をいただきましたが、国が地方分権を進めて久しい中、私たちも地域(現時点では都道府県)に根差した事業展開や組織運営を今まで以上に強めていく必要性を感じました。

 多くの、あるいはすべての都道府県協会と本協会は同じ目的を有していること、つまり“精神障害者の社会的復権と福祉のための専門的・社会的活動を進める”団体であること、そして「精神保健福祉士」による組織体であること、あるいは組織体となっていくことを全体で再確認したうえで、今後の事業展開や組織運営を充実・発展させていくことが合意された暁には、本協会は都道府県協会の連合体的な役割や機能をより一層拡充させることが必要であると考えており、更にいえば、連合会創設(あるいは移行)の検討を始めることが肝要ではないかと夢想しています。

(※)本協会、社団法人日本社会福祉士会、公益社団法人日本医療社会福祉協会、特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会の4団体で構成。本年7月から2年後のアジア太平洋地域での国際ソーシャルワーカー連盟による国際会議までの間、本協会が幹事団体となり、本協会会長が日本の代表者を務める。


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