2010年8月30日

 第46回沖縄大会が終了して、一服する間もなく、7月の第2回常任理事会で今後の精神保健福祉士資格のあり方について協議しました。その中で、一人ひとりの構成員に自らの問題として考えて頂くために情報やメッセージを届けようということにしました。今回は、精神保健福祉士資格について発信します。今後もその時々の話題を呟きたいと思います。

 「精神保健福祉士の養成のあり方等に関する検討会」(厚生労働省)は、2009年3月に「精神保健福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて」を取りまとめました。これを受けて、7月12日から8月10日までの間、「精神保健福祉士法関連法令・通知の改正に関するパブリックコメント募集」が行われましたが、近く法令・通知の改正が告示されることと思います。

 先述の検討会の中間報告(2008年10月)では法改正の必要が示され、精神保健福祉士法の改正案が二度国会に上程されましたが、政局等の事情からいずれも廃案となりました。本協会は、引き続き法改正を目指していきます。

 翻って、2007年12月には、近年の介護・福祉ニーズの多様化・高度化に対応し、人材の確保・資質の向上を図ることが求められていることを背景に、「社会福祉士および介護福祉士法」が改正・公布されました。改正による変更点は、定義規定および義務規定の見直し、資格取得方法の変更、等でした。

 精神保健福祉士についても、廃案となってしまった改正法案には、同様の見直し内容が規定されていました。今般、資質の向上を図るべく、資格取得方法の変更等、養成課程の見直しが法改正に先行することとなるわけです。

 資格創設から10余年が経過し、医療・介護・福祉を取りまく社会情勢が激変する中、とりわけ精神保健医療福祉に関する需要の高まりが見られます。また、国連障害者の権利条約の採択や各国での批准などに関連して、障害当事者をはじめとする、国内外の運動の高まりもあります。精神保健福祉士もそのポテンシャルをアップして、期待に応えたいものです。

 また、医療・介護・福祉におけるボーダレス化も進み始めている一方で、ソーシャルワークが求められる領域も多様化しています。メンタルヘルス課題は、いまや国民すべてが対象となってきました。

 かつて本協会は、全てのソーシャルワーカーを統合する社会福祉専門職の国家資格化を理想としながらも、医療分野に踏み込まない資格として社会福祉士がスタートしたことから、積み残し課題の調整見通しが立たない間、協会内で議論を重ねてきた結果として、精神保健福祉領域の資格を求めることとなりました。いつの間にか、社会福祉士が医療分野にも位置づくなど、さまざまな状況の変化を踏まえた上で、現段階では、本協会は、先ずは、現在の資格の仕組みを基本として、必要な見直しを進める取り組みに専心します。そのことによって、精神障害のある人々や家族、そして国民の精神保健福祉の向上に寄与すべく、社会的責務を果たしたいと考えています。そのうえで、将来的な検討を持ちたいと考えています。先ずは、ステップアップ!です。

※内容に一部誤解を与える可能性がある表現が含まれていたため、2010年10月14日付で一部修正しております。


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