<2025/06/06>
ソーシャルケアサービス研究協議会(会長:及川ゆり子氏)が支援する、超党派の「地域共生社会推進に向けての福祉専門職支援議員連盟」(以下「福祉専門職支援議連」という。)(会長:田村憲久衆議院議員)は、地域共生社会を推進していく担い手として、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士(以下「福祉専門職」という。)の人材を確保し、様々な領域で配置義務がなされ、かつ待遇をも含めた社会的な評価を高めていくことを課題にした議員連盟です。
6月2日に開催された第8回総会では、こども家庭ソーシャルワーカーの現状と課題をテーマに、国会議員及び秘書の皆様ほか、ソーシャルケアサービス研究協議会や日本社会福祉士会、日本精神保健福祉士協会、日本介護福祉士会、日本医療ソーシャルワーカー協会、日本ソーシャルワーク教育学校連盟、日本ソーシャルワークセンターなどが出席しました。
総会では、福祉専門職支援議連事務局長の田畑裕明衆議院議員の進行のもと、役員改選、各団体の報告が行われました。はじめに、日本ソーシャルワークセンター代表理事の白澤政和氏から「こども家庭ソーシャルワーカー認定資格の現状と課題」として、令和7年3月に実施された第1回資格認定試験の実施状況をふまえ、「補助制度の周知・活用」「研修機関を増やすためのインセンティブ(助成制度)」等について提案がされるとともに、実際に資格取得への支援を行っている千葉県から、資格取得の支援体制や実績報告とともに、「資格者の活用方法」「給与引き上げ」「研修受講と通常業務のバランス」等の課題が、ビデオメッセージとして届けられました。
その後、実際にこの試験の合格者2名から報告がなされ、米澤克徳氏(岩手県保健福祉部子ども子育て支援室)からは、この資格を取得することによって「児童虐待予防や子育て支援の充実」「子どもの最善の利益に寄与」できること、「多職種・他分野連携・共働の架け橋」となれること等の展望が語られるとともに、上野陽弘氏(こどもの心のケアハウス嵐山学園)からは、自身の現場実践に基づき「既存の国家資格(社会福祉士、精神保健福祉士)の学びの上に、この資格を取得していくことの必要性」について熱く語られました。
続いて、行政の立場からは、こども家庭庁支援局長の吉住啓作氏から、「こども家庭ソーシャルワーカー取得促進事業」を通じ、資格取得費用(旅費、研修受講料、代替職員を確保するための雇上費)の財政支援を行っており、令和6年度は約3割の申請実績があったこと、また令和7年度については約6割の自治体が申請検討中という回答があり、積極的に働きかけていきたいとの報告がされました。
意見交換では、福祉専門職支援議連会長の田村憲久衆議院議員から、「日本ソーシャルワークセンターが財政的に運営できるには、どれくらいの支援が必要なのか」との質問がありました。これに対し、日本ソーシャルワークセンター代表理事の白澤政和氏からは、「1400名程度の受講者の確保が1つのポイントとなる。現在、約800名弱の受験者数だが、今年度に2割アップ、さらに翌年には2割アップという形で受験者を増やしていきたい」との回答がありました。また、こども家庭庁支援局虐待防止対策課長の野中祥子氏からは、「昨年度は、自治体も資格取得者がどのように活躍するかのイメージがわかず、補助の活用が進まなかった。今年度は、『研修の意義』『仕事にどう活かしていけるのか』等について、実際の合格者から語ってもらうことで、自治体の意識も変わってくるのではないか。合格者や送り出し側の組織のインタビュー等を通じ、受験者を増やしていきたい」との回答がありました。
続いて、田中昌史参議院議員から、合格後のフォローアップ体制についての質問が出され、日本ソーシャルワークセンター代表理事の白澤政和氏からは、令和7年度事業として合格者を対象としたフォローアップ研修を計画していることが回答されました。また、日本社会福祉士会の西島善久会長から、資格取得者の待遇改善の仕組みや職能団体のサポートについて説明されるとともに、日本精神保健福祉士協会の田村綾子会長から、事例を活用したスーパービジョンを通じ実践力を向上させていくことの重要性や、社会福祉士、精神保健福祉士については職能団体に加入し、こども家庭関係の委員会事業や研修等に参加していただきたいこと、職能団体(日本社会福祉士会、日本精神保健福祉士協会、日本医療ソーシャルワーカー協会、日本ソーシャルワーカー協会)で構成される日本ソーシャルワーカー連盟において、認定資格取得者のサポートを継続的に協議していること等が報告されました。また、日本医療ソーシャルワーカー協会の野口百香会長からは、現場の実践者を講師とした指定研修に取り組んでいること、自分たちも頑張るので、平行して自治体への財政支援も進めてほしいことが報告されました。
こども家庭庁からは、「フォローアップ研修の重要性、資格者同士のネットワーク、将来的に配置基準にしていく等のメッセージ発信等、貴重な意見をいただいた。目指すところは、こども家庭庁も、団体、国会議員と同じ。この資格をどう役立てていくのかということを、引き続き、一緒に考え、前に進めていきたい」との説明がありました。
最後に、福祉専門職支援議連会長の田村憲久衆議院議員から、こども家庭庁が自治体に対してこの認定資格が役立っていくよう、しっかりと趣旨をつたえていただきたいこと、災害救助法が改正され支援メニューの中に福祉が位置づけられ、活動範囲が在宅避難者や車中泊についても広がったことは大きな成果であること、今後もソーシャルワーカーを支援していきたい旨、挨拶があり締めくくられました。
(文責:ソーシャルケアサービス研究協議会)
地域共生社会推進に向けての福祉専門職支援議員連盟役員(敬称略)
顧問 | :尾辻秀久、福島みずほ |
会長 | :田村憲久 |
副会長 | :衛藤晟一、古川元久 |
幹事長 | :阿部知子 |
幹事 | :東 徹、伊藤孝江、岸 真紀子 |
事務局長 | :田畑裕明 |
事務局次長 | :池田真紀 |
(2025年6月2日現在) |