<2023/02/07>
昨年12月、北海道江差町の社会福祉法人「あすなろ福祉会」のグループホームにおける入居者への「不妊処置」に関する報道がありました。また、本年1月20日には、厚生労働省から各自治体に「障害福祉サービス事業者における障害者の希望を踏まえた適切な支援の徹底等について」が通知され、事業者が障害福祉サービス等の利用の条件として利用者に避妊処置等を求めることや、利用者に対し避妊処置等を強要すること、障害があることを理由に子どもを産み育てられないものとして支援すること等はあってはならないとする注意喚起がなされたところです。
本協会を含むソーシャルワーカー団体で構成する日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)では、過去に旧優生保護法訴訟に対する声明の発出等を行ってきた経過があることから本件について協議し、障害者総合支援法に基づく北海道による当該法人への監査結果や処分等が明らかになった時点で声明文の発出を行う予定です。この間の報道がすべて事実であり、その不妊処置に「強制性」あるいは他にサービス利用の選択肢がない過疎地域ゆえの諸課題、すなわち法人側からの一方的な提案を受け入れざるを得ないという「半強制性」の実態があるとすれば、社会正義、人権、集団的責任等のソーシャルワークの諸原理を追求する精神保健福祉士にとって看過できることではありません。また、当該報道の事実確認とは別として、一連の報道に対するインターネット上の匿名コメントでは、障害者の結婚や出産、育児等についての差別的な発言が後を絶たず、その一言ひとことが多くの障害当事者や家族、そして私たち支援関係者をも傷つけています。人々に根強く残る優生思想や差別意識と対峙していくことは、私たち精神保健福祉士一人ひとりの責務でもあります。
つきましては、構成員の皆さまには、この重大な問題に強い関心を払い、ご自身の実践に照らしてお考えいただくとともに、都道府県支部や都道府県協会、地域の協議会等でも話題にしていただき、ご意見等をお寄せください。例えば、所属地域で同様の事案が起きていないか、そのような話を身近で見聞きした人がいないか、また一方では、障害者の結婚や出産、育児等に関する支援経験や共有すべき好事例等について本協会にて集約したいと考えます。
「あすなろ福祉会」に関する報道に端を発した問題提起を、一法人の特殊な事情として終わらせず、障害や疾病を理由として差別の対象とされている人々に寄り添い、これから生まれてくるいのちも含めて誰も排除されない社会の実現に向け、歩みを共にしていただきますようお願いいたします。
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