<2023/01/12>
ソーシャルケアサービス研究協議会(会長:白澤政和氏)が支援する、超党派の「地域共生社会推進に向けての福祉専門職支援議員連盟」(以下「福祉専門職支援議連」という。)(会長:田村憲久衆議院議員)は、地域共生社会を推進していく担い手として、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士(以下「福祉専門職」とする。)の人材を確保し、様々な領域で配置義務がなされ、かつ待遇をも含めた社会的な評価を高めていくことを課題にした議員連盟です。福祉専門職支援議連は、2022年12月21日に第7回総会が「福祉専門職の在り方〜社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士の現状と課題〜」をテーマに開催され、約40名の国会議員及び秘書の方が出席しました。
第7回総会は福祉専門職支援議連事務局長の橋本岳衆議院議員の進行のもと、最初に福祉専門職支援議連会長の田村憲久衆議院議員から開会の挨拶がなされました。田村憲久会長は、今回の総会開催の趣旨について説明した上で、児童福祉の新しい認定資格の制度化に関する今般の議論にも触れ、子どもを守るため、養成課程を含めた関係者の協力が欠かせないと強調されました。
続いて、役員の選任に関し、橋本岳衆議院議員より、宮沢由佳元参議院議員(立憲民主党)に代わり、岸真紀子参議院議員(立憲民主党)が新しく幹事に就任した旨の報告がありました。
次に、配付資料にもとづき、一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟(以下「ソ教連」という。)事務局長代理の小森敦氏から、「これからの我が国の福祉を担う福祉系大学現役学生が考えていること」と題し、将来にわたってソーシャルワーカーを安定的に確保するためには、専門職配置の法整備や財源措置等、正規雇用によるソーシャルワーカー配置を実現することと、高齢、障害、子ども家庭、教育、生活困窮などの各制度において、社会福祉士・精神保健福祉士を「専門職種」として位置付けることが重要であるとの報告がありました。
続いて、公益社団法人日本介護福祉士会(以下「介士会」という。)会長の及川ゆりこ氏から、「介護福祉士資格の有効活用」と題し、質の高い介護サービスを担保するため、職員配置基準に介護福祉士の名称を明記するとともに、研修受講実績等個の質を評価すること、介護福祉士資格取得方法の一元化について更なる延期はしないことの2点の要望が示されました。
また、ソーシャルケアサービス研究協議会代表の白澤政和氏からは、「質の高い福祉・介護人材の確保」と題し、人材の確保にあたっては、量的確保と質的確保を両輪で進めていくことが重要であるとした上で、国民の生活や暮らしに寄り添い、常に受益者を最優先で考えることに責任と役割を持つ専門職である三福祉士(社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士)を有効活用することの重要性について報告がありました。
続いて、厚生労働省子ども家庭局長(以下「厚労省子ども家庭局長」という。)の藤原朋子氏より、子ども家庭福祉の認定資格の検討状況について説明があり、令和6年度の制度施行に向けた今後のスケジュール(案)が示されました。
また、認定資格の取得方法について、厚生労働省子ども家庭局子ども家庭福祉課虐待防止対策推進室長(以下「厚労省虐待防止対策推進室長」という。)の羽野嘉朗氏より、すべての資格取得ルートで共通の試験を設けることを検討している旨の報告がありました。
意見交換においては、山本香苗参議院議員より、子ども家庭福祉の認定資格の有資格者ルートについて、実際に希望する方がどのくらいいるのか、また、正規雇用による社会福祉士・精神保健福祉士の配置について、ソーシャルワーカーとしての必要数はどのくらいなのか質問がありました。
これに対し、ソーシャルケアサービス研究協議会代表の白澤政和氏より、すそ野を広げて欲しいこと、ソーシャルワーカーの必要数の推計は常々要望しているが、精緻な推計にもとづく数値は手元にはない旨が回答されました。また、厚生労働省こども家庭局家庭福祉課 虐待防止対策推進室長(以下「厚労省虐待防止対策推進室長」という。)の羽野嘉朗氏より、厚労省が今年度行っている調査研究事業では、雇用側を対象とする調査と、就業者を対象とする調査があり、児童相談所として職員にとらせたい資格であると回答があったのは約43%であり、職員本人が取りたい資格であると回答があったのは約28%、どちらかと言えば取りたいと回答があったのが約26%であったと報告されました。資格を取ることでどれだけインセンティブがあるのか、仕事が忙しいといった様々な要因が考えられるが、室としては質の向上を図る必要性とどのように確保していくか、どのような制度設計を行うか今後詰めていかなければいけないと考えている旨が回答されました。
続いて、福祉専門職支援議連事務局長の橋本岳衆議院議員より、人材育成後の課題として正規の就労先を確保していくことが重要と考えるが、何か検討されているのかについて、また介護福祉士資格取得方法の一元化に関する議論の状況についての質問がありました。
これらに対し、厚労省虐待防止対策推進室長の羽野嘉朗氏より、たとえば児童相談所であれば正職員が多く、児童虐待防止対策の関係で新たなプランを作り、地方交付税措置も含め体制強化をする方向のなかで正規職員も含め体制強化を図っていきたいとの旨が報告されました。市町村については今後の検討となっているが、虐待相談窓口は非正規が4割程度であり児童相談所のOBが多いと聞いていること、体制強化をどのように検討するか相談しながら検討したいとの旨が回答されました。また、ソーシャルケアサービス研究協議会代表の白澤政和氏より、スクールソーシャルワーカーは9割以上が非正規雇用であり一番の問題であること、文科省に何度も足を運びお願いしているところであり、市町村に常勤職員を置くことは可能ではないかと議論になっていること、1学校に1名を配置し学校に根付くソーシャルワーカーを配置することが必要であると回答されました。また、厚生労働省社会・援護局福祉基盤課 福祉人材確保対策室長の今泉愛氏より、介護福祉士資格取得方法の一元化については、令和9年度からの完全実施の予定であるが、介護福祉士の資質の担保と介護サービス利用者の質の担保が重要であり、今後、必要な検討を行っていきたいと回答されました。
続いて、三浦靖参議院議員より、ある地方公共団体では、高齢者福祉、地域福祉、児童福祉、教育委員会の一般職が、有資格者側に対するプレッシャーによって心の問題を抱えるケースが多いことをふまえ、有資格者が一般職として採用された場合にも有資格者であることを活かして行政で採用されることを検討いただきたいとのご意見がありました。
これに対し、ソ教連事務局長代理の小森敦氏より、社会福祉士は行政のなかで異動があっても活用しやすい資格であると考えており、今後も行政の状況や昨今の傾向を把握し検討していきたい旨回答されました。
活発な意見交換がなされましたが、終了時間が近づいたため、区切りをつけて、最後に福祉専門職支援議連会長の田村憲久衆議院議員より、現場のさまざまな課題を共有した旨挨拶をいただきました。また、正規非正規と処遇改善の問題については非正規が多い理由やマンパワーや費用に関する課題を解決する必要があること、介護福祉士の場合、本来業務の確立が課題であること、ヤングケアラー問題でもスクールソーシャルワーカーの役割が必要であること、宗教2世の問題がクローズアップされているなかで子どもの権利侵害など今後の課題であることも踏まえ、今後も連携して取り組んでいきたい旨挨拶があり締めくくられました。
(文責:ソーシャルケアサービス研究協議会)
地域共生社会推進に向けての福祉専門職支援議員連盟役員(敬称略)
顧問 | :尾辻秀久、福島みずほ |
会長 | :田村憲久 |
副会長 | :衛藤晟一、高橋千鶴子、古川元久、山本香苗 |
幹事長 | :阿部知子 |
幹事 | :東 徹、伊藤孝江、岸 真紀子 |
事務局長 | :橋本 岳 |
事務局次長 | :田畑裕明 |
(2022年12月21日現在) |