お知らせ

<2019/12/03>

【報告】「災害時における福祉専門職による組織的な支援活動の現状と課題」をテーマに第2回総会開催−地域共生社会推進に向けての福祉専門職支援議員連盟−

 
挨拶する田村憲久会長 財前民夫氏 石本淳也氏 笹岡眞弓氏 会場の様子 

 ソーシャルケアサービス研究協議会(会長:白澤政和氏)が支援する、超党派の「地域共生社会推進に向けての福祉専門職支援議員連盟」(以下「福祉専門職支援議連」という。)(会長:田村憲久衆議院議員)は、地域共生社会を推進していく担い手として、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士(以下「福祉専門職」とする。)の人材を確保し、様々な領域で配置義務がなされ、かつ待遇をも含めた社会的な評価を高めていくことを課題にした議員連盟です。福祉専門職支援議連は、2019年6月6日に設立総会及び第1回総会が開催され立ち上げられました。そして、この度、同年11月12日に参議院議員会館1階「講堂」で、「災害支援」をテーマに第2回総会が開催されました。当日は約50名の国会議員及び秘書の方が出席しました。

 第2回総会は福祉専門職支援議連事務局長の橋本岳衆議院議員の進行のもと、最初に当議連会長の田村憲久衆議院議員から開会の挨拶がなされました。田村憲久会長は、冒頭に昨今の多発する災害に被災された方々へのお見舞を述べられた後、各地域で展開しているDWATや災害福祉支援ネットワークにふれられ、本日は3名の福祉専門職の方から被災地支援活動についての報告があり現場の声を聞く場になっており、福祉専門職が円滑に力を発揮できる環境作りについて勉強したいと話されました。

 次に、配付資料にもとづき、社会福祉法人全国社会福祉協議会・全国社会福祉法人経営者協議会の財前民夫氏から2018年7月豪雨災害における岡山DWATの活動内容や全国社会福祉協議会「災害時福祉支援活動における検討会」提言の報告、公益社団法人日本介護福祉士会会長の石本淳也氏から熊本地震における介護福祉士会が行った支援内容やその際の課題の報告、ソーシャルケアサービス研究協議会の笹岡眞弓氏から福祉専門職の使命は「人々の地域生活を支える」ことであり、今までの災害時における福祉専門職活動をふまえて、災害救助法等法令に「福祉」の支援を明確に位置づけていただきたいこと、厚生労働省通知「大規模災害時の保健医療活動にかかる体制の整備について」に書かれている「都道府県の保健医療調整本部を設置」を「都道府県の保健医療福祉調整本部を設置」としてほしいことを要望しました。

  続けて、内閣府政策統括官(防災担当)付参事官の大竹喜勝氏から福祉避難所の説明を、厚生労働省社会・援護局福祉基盤課長の宇野禎晃氏から災害派遣福祉チーム(DWAT)の設置状況や活動状況の説明がありました。

 意見交換では、自見はなこ参議院議員から2019年台風第19号時の反省として医療ニーズへの対応のみでは不十分で、医療・介護・福祉が一つのテーブルについて議論を行い各団体が垣根を越えて災害支援に取り組むことが必要であること、大串正樹衆議院議員から「保健医療調整本部」を「保健医療福祉調整本部」とすることの問題点について質問があり、厚労省からは今まで医療関係者と福祉関係者との十分な協議がなかったが、保健医療福祉調整本部としてどのような連携ができるか協議を開始している旨の回答がありました。堀内詔子衆議院議員から避難所までたどりつけなかった住民の福祉的支援について質問があり、厚労省からは地域包括ケアの一環として介護支援専門員がフォローしている旨の回答がありました。白澤政和氏からは福祉専門職としてアウトリーチの役割が重要であることや実際に派遣してローリング調査を行っていることを報告しました。柿沢未途衆議院議員からは今回のテーマは関心のあるテーマであると話された後、災害派遣医療チーム(DMAT)は阪神淡路大震災の反省からうまれたが災害現場は日常生活の延長であり避難所に来ない住民もおりアウトリーチが求められちることから、DMATモデルのパラダイムシフトが必要ではないか、との課題提起がありました。石本淳也氏からはアウトリーチも必要だが避難所におけるニーズ対応も必要でありどちらも必要ではないか、日本社会福祉士会会長の西島善久氏からは、地域包括支援センターの支援を行い仮設住宅や在宅住民の見回り支援を行った経験をふまえて、DWATは避難所支援に限定されてしまうので在宅支援を位置づけることが必要なこと、また在宅支援を円滑に行うために法的整備を求めたいとの発言がありました。財前民夫氏からは平時からの体制づくりが必要であることや高齢や行政は障害といった縦割りを乗り越えることが重要であることを話されました。また橋本岳事務局長から倉敷市でも在宅者のローラー調査を行ったことが補足されました。安藤高夫衆議院議員からは医療から介護へのつながりの重要性について、福祉専門職支援議連事務局次長の田畑裕明衆議院議員から「災害時の福祉支援体制の整備に向けたガイドライン」ではネットワーク主管部局を自治体に委ねているが知事直轄だと事業がスムーズに進むのではないか、金子恵美衆議院議員からは支援をする福祉専門職も疲弊することから支援者に対するカウンセリングも必要ではないかとの意見がありました。

 活発な意見交換がなされていましたが終了時間が近づいたため区切りをつけて、最後に田村憲久会長から挨拶をいただきました。田村憲久会長は、フィジーで開催された「アジア太平洋国会議員フォーラム」にふれられ、災害時の福祉対応はまだまだ不十分であることを認識したこと、医療、保健と合わせて福祉が対応できる体制が必要であること、厚労省、内閣府、各地域がそれぞれの役割を担っていくことが重要であると、締めくくられました。

 今回の総会は、多くの国会議員が、保健・医療と並んで「福祉」が重要な要素であることの認識をもたれており、避難所のみならず仮設住宅や在宅で生活する被災した地域住民への生活支援についても活発な意見交換が行われました。私たち、福祉専門職への期待も大きく、私たちは今後も「福祉」が法制度に位置づけられるよう働きかけていくことの必要性を認識する総会でした。

(文責:ソーシャルケアサービス研究協議会)


地域共生社会推進に向けての福祉専門職支援議員連盟役員(敬称略)

顧問 :尾辻秀久、福島みずほ
会長 :田村憲久
副会長 :衛藤晟一、高木美智代、高橋千鶴子、古川元久
幹事長 :阿部知子
幹事 :東 徹、伊藤孝江、宮沢由佳
事務局長 :橋本 岳
事務局次長 :田畑裕明

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