お知らせ

<2019/10/18>

【2019年台風第15号災害対策本部】被災地訪問報告

報告者:常務理事 木太直人

千葉県市町村マップ(大網白里市の位置を表示)
千葉県ホームページより転載(赤枠を加筆)
https://www.pref.chiba.lg.jp/kouhou/map.htm
l

○訪問日 2019年9月25日
○訪問先 社会福祉法人ワーナーホーム本部(千葉県大網白里市細草3215)
○訪問の目的:一般社団法人千葉県精神保健福祉士協会及び特定非営利活動法人千葉県精神障害者自立支援事業協会における今後の災害支援の取組みを模索するため、千葉県における精神障害者地域生活支援活動を中心的に展開してこられた社会福祉法人ワーナーホーム理事長・寺田一郎氏を交えて行われる情報共有・情報交換の場に同席することで、千葉県協会における災害支援活動に対する本協会としての支援のあり方を確認する。
○大網白里市の位置・地勢:
九十九里平野のほぼ中央にあり、西は緑豊かな丘陵部、中央は広大な田園部、東は白砂青松の海岸部という特色ある豊かな自然を持つ風土を有している(市の公式ホームページより)

○千葉県精神障害者自立支援事業協会の対応状況など(三好恵里子理事長より)
 県内の123事業所が加盟している。
自分の所属する特定非営利活動法人ウィズの事業所(7か所)のうち1か所だけまだメールや電話が不通である。
 9月11日から事業所の状況調査を行った。12日には千葉県から事業協会への聞き取りがあった。14日は南房総地域等の事業所を回ったが、ライフラインは復旧していた。
 館山市では物資は充足されているが人手は足りていない様子であり、まだ混乱している感じであった。
 厚生労働省から情報提供の依頼があり、委託相談支援事業所の聞き取り調査を行った。千葉県社会福祉士会に協力して行った富津市の全戸調査では聴き取った内容をボランティアにつなげた。
 海岸沿いの地域は高齢者が多かった。富津市には事業協会として15人位支援に入っている。
 館山市は支援が必要な状況。今日明日にも正式に依頼文が届く見込み。事務処理ができる人と専門性がある人とが求められる。
 調査結果では、特に安房地域(館山市、南房総市、鴨川市、鋸南町)は課題が多い。居住場所に住み続けられるか不安を抱えている。
 利用者対応では、事業所同士で風呂の貸し借りもしている。
 (課題)
 ・連絡手段にはとにかく困った。
 ・被災事業所が多く、ほかに手伝いに行かれない。
 ・事業所のスタッフが頑張っており疲弊が心配。

○千葉県精神保健福祉士協会の対応状況など(山崎久之会長、渡邉哲也理事、渡辺由美子理事より)
 県協会の会員では、事業協会として動いた人、個人でボランティア活動をした人がいた。
 県協会として安否確認をしたが、通信障害のため情報がなかなか集まらず。
 精神科病院では、県の精神科病院協会の事務局である磯ヶ谷病院が被災して機能できず、浅井病院(東金市)が代替機能を担った。9月11日には事務長会が物資を運んだ。
 (会長が勤務する)成田病院は2日間停電。自家発電も燃料の軽油の調達ができず6時間から12時間しかもたなかった。復旧後の電子カルテの処理が大変であった。安房地域を視察してきた。館山市、富津市への支援については、行政から要請があがってきている。9日、10日は外来患者に処方箋なしでも電話で薬局に対応してもらった。

○山武圏域自立支援協議会の対応(特定非営利活動法人リンク・吉井稔理事長、赤堀久理子氏より)
 通信が使えないことが大きく、各事業所の空き状況が確認できなかった。
 圏域のグループホームを全部回った。山武町では山の方が2週間断水、停電があった。
 2週目に事業所の状況を確認し、県に情報提供した。
 入院機能が麻痺した。情報が錯綜しており、外来診療をしていないというところが実際にはやっていたり。
 柴山町は85%が停電していて、報道内容と違っていた。防災無線も携帯も使えず。
 屋根の修理が見積もりで300万円と言われたが、詐欺かどうかが判断できない。
 今後補償の流れを把握しておく必要がある。

○ワーナーホームの概要:
 
ワーナーホームホームページより転載(http://www.wanahome.or.jp/outline/)

○ワーナーホームの被害等の状況(寺田氏より):
 施設の建物等の物的な被害は大きくはなかった。千葉市の事業所ではグループホームのガラスが割れ樹木が倒れた。大網では屋上の室外機が飛ばされた他やはり倒木がありその撤去に費用がかかった。停電と断水は大網白里市の事業所が一番大変だった。グループホームで最後に停電が解消されたのが9月16日(8日目)であった。断水は浄水場のポンプが動かないため。9月12日深夜に東電の発電車が来てくれて24時間稼働しているうちに電気が復旧した。
 飲料水は備蓄がかなりあった。生活用水は井戸が2か所あったので対応できた。食事はホレブ寮にあった冷凍食品を片っ端から使用した。調理はプロパンガスであったので問題なくできた。停電によって通信手段(電話、パソコン)がなくなり、情報発信ができなかった。また、施設はすべて浄化槽であったため汚水処理できず、2回汲み取りに来てもらった(20万円)。
 コンビニ、スーパー、ガソリンスタンドはほとんどが閉店しており、食料とガソリンの確保が大変であった。グループホームでは1日1食の提供を契約していたが、ほかの2食を利用者が調達できないため、施設側で提供した。
 高齢の利用者はトイレを我慢して失禁する人が増えた。洗濯物は職員がコインランドリーに行って対応したが大混雑であった。水道と電気については個人ではどうしようもないことで、ただ耐えるだけ。
 9月16日には富津市からボランティアの要請があったので職員7名を派遣した。当初は障害者手帳所持者の全戸訪問での安否得確認であったが、途中から全世帯訪問のニーズ調査に変わった。
 法人として災害時のマニュアルはあったが、それに従ったわけではなかった。長期の停電への対応は想定外。千葉事業所では他法人の利用者に入浴の便宜を図った。また、停電、断水が続いている職員にはその家族(子供など)にも施設の風呂を開放して入浴してもらった。

○今後の支援活動等について確認した内容
・日本協会が行う募金活動は、千葉県協会の災害支援活動を資金的にバックアップする目的で行うこと。
・千葉県協会では明日(9月26日)に臨時の災害対策会議を開き今後の支援活動のあり方を検討する。
・自治体の要請で専門職が支援に入る場合に、災害救助法の適用で支援活動時の移動費用等が出る可能性もあるので、県の健康福祉部等に確認すること。


△前のページへもどる