お知らせ

<2014/07/07>

【設立50周年】ゲーリー・ベイリーIFSW会長からのお祝いメッセージ

 本協会の設立50周年を祝して、国際ソーシャルワーカー連盟のゲーリー・ベーリー会長から第50回公益社団法人日本精神保健福祉士協会全国大会・第13回日本精神保健福祉士学会学術集会開会式に寄せられたメッセージ(和訳全文)を掲載いたします。


親愛なる日本精神保健福祉士協会の皆様

 2014年6月20日、皆様方が日本精神保健福祉士協会(JAPSW)50周年を祝賀されるこの日に、国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)の会長として、IFSWを代表してご挨拶ができることをうれしく、名誉に思います。この大変重要な出来事を皆様と共に記憶に刻み込む機会をくださったIFSWアジア太平洋地域一般理事の木村真理子氏に感謝いたします。

 この50年の間、日本精神保健福祉士協会は、数多くの献身的で責任感に満ちたソーシャルワーカーを世に送り出し、よく訓練された質の高いソーシャルワーカーが日本の精神保健福祉の最前線で活躍する状況を作り出してこられました。何と大きな業績でしょうか!

 現代の世界は、ソーシャルワークが今以上に一致団結し関与を深めることを必要としています。国際的な舞台でもっと組織化を進め、影響力を高めなければならないという共通認識はすでにありますが、今後、私たちは、さらに明確で効果的な方法で、国際的な諸問題の状況を変える戦略や行動計画を話し合い、作り上げていかねばなりません。

 2010年6月の香港、そして2012年スウェーデン・ストックホルムでの世界会議において、3つの世界的ソーシャルワーク組織、すなわち国際ソーシャルワーク学校連盟・国際社会福祉協議会・国際ソーシャルワーカー連盟は、次のことを認めざるを得ませんでした。すなわち、実践と教育を両輪とするこのソーシャルワークという領域が、各国において、国際機関において、また社会開発の現場において、しばしば隅に追いやられているということです。私たちが姉妹団体と合同の「会議」をもつという決定は、力を合わせて共通の目標を明確にしたいと願う、ソーシャルワーク・社会開発の実践者とソーシャルワーク教育者を団結させるための「政治的」な決定だったのです。私たちが直面している課題は数多く、一致団結して声を上げること、連帯を強めることが求められています。2010年のいわゆる「香港プロセス」およびその後の諸活動は、私たちが過去の経験を活かして、きわめて重要な新しい「関与・行動のアジェンダ(予定表)」を打ち出すチャンスをもたらしました。この「関与・行動のアジェンダ」は、IFSWの会員やパートナーたちを突き動かす力を持ちうるものです。

 2010年の香港会議は、プロセスの到達地点ではなく、始まりでした。それは、国際的な組織としての私たちが引っ張っていこうとする、より大きな運動の始まりだったのです。その運動は、次のような問題を対象にしています。

 これらの問題の多くは2015年ミレニアム開発目標に含まれていますが、含まれていないものもあります。ミレニアム開発目標は、時間的な期限や数値目標が設定された世界的な計画で、ジェンダーの平等・教育・環境の持続可能性を促進しつつ、低収入・飢餓・病気・適切な庇護の欠如・排除など、様々な側面であらわれる極端な貧困の問題に取り組むものです。これらの事柄は、基本的人権の問題でもあります。この地球上の一人ひとりが健康・教育・庇護・安全への権利をもつことは、世界人権宣言や国連ミレニアム宣言の中ではっきり謳われているのですから。

 これらの問題をはじめとする重要な諸問題について私たちが行動することは、政策の決定者や実行者に影響を与えます。私たちは、持続的発展を可能にする様々な社会的・経済的・環境的諸要因を結び合わせなければなりません。そうしてできた相互関係は、私たちが何をするのか、なぜそうするのか、何を達成しようとしているのかを明らかにするのに役立つでしょう。

 IFSWの私たちは、皆様方、日本精神保健福祉士協会が、これまで優れたサービスの提供に邁進してこられたこと、今後も、グローバルアジェンダの実現に向けて、私たちと力を合わせていく決意でおられることを知っています。

 貴協会の歴史的な時を皆様が祝賀されるこの時、私たちは、そして世界中の同僚たちが、皆様のお仕事ぶり、ソーシャルワーク専門職に対する献身ぶりに盛大な拍手を送っています。これまでと変わらず、次の50年も共に働いていけることを切に願うものです。

 皆様との連帯において

(署名)
国際ソーシャルワーカー連盟会長
ゲーリー・ベイリー (MSW、ACSW)
2014年6月3日

[翻訳者]片岡信之(社会福祉専門職団体協議会国際委員/四国学院大学/香川県支部)


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