お知らせ

<2012/03/29>

【報告】「権利擁護に関するワークショップ」を開催しました!

開会挨拶をする岩崎香委員長 グループワークの様子1 グループワークの様子2 閉会挨拶する金成透委員

 去る、3月24日(土)の午後、本協会主催、権利擁護委員会企画運営により、「権利擁護に関するワークショップ」を開催しました。

 このワークショップを企画する前の2010(平成22)年度に「精神障害者の生活支援と権利擁護に関する普及啓発事業」(独立行政法人福祉医療機構助成事業)の一環として「みんなで考える精神障害と権利」(以下「本冊子」という。)が刊行されました。本冊子は、専門職だけでなく子どもから大人まで誰が読んでも分かりやすく、精神障害の理解や精神障害のある人たちがおかれている現状、大切な権利があること、それを護ることについて学ぶことができます。これまでに、「精神障害者の自立生活を支えるための『権利マニュアル』」、「精神障害のある人への生活支援と『障害者の権利条約』」などを刊行しましたが、どうしても関係者への発信でとどまってしまっていました。そこで本冊子は、ただ読みやすいということではなく、盛り込まれている内容をもとに私たち精神保健福祉士が、広く啓発活動ができるものとしたいと考えました。また、啓発活動に使いやすいツールもセットにしてご紹介すべきであると、委員のみではなく、多くの方たちからのご意見を基にしたツール作りを目指すべく、ワークショップを企画いたしました。

○凝集性の高いワークショップでした!!

 当日は、予報では日中は暖かくなり過ごしやすいとのことでしたが、開始直前まで冷たい霧雨が降り続いていました。事前に申し込みいただいた方たちがどれくらい来られるかと心配しておりましたが、ふたを開けたら北は北海道、南は広島まで年度末にも関わらず遠方から約40人の方たちにお越しいただきました。岩手から一番乗りで来られた方には会場設営までご協力いただいてしまいました(感謝です)。

 このワークショップは、ツール作りを目指すことに主眼をおき講演会などの時間は設けませんでした。権利擁護委員会が本冊子をもとにした『生徒・学生向け』、『一般市民向け』、『専門職向け』の3つのツール案を10分で紹介し、その後それぞれについて6グループにより20分間議論をするというスタイルをとりました。

 『生徒・学生向け』は、50分の3回シリーズで、「精神疾患と障害の理解」、「障害がある人の権利と保障について」、「精神に障害のある人の経験や想いを聴き、感じたことを話し合う」という内容をご紹介いたしました。

 『一般市民向け』では、社会的トピックスや身近な話題を含む分かりやすい内容にこころがけ、落語やコントを織り交ぜて説明を行う内容となっています。

 『専門職向け』では、精神障害のある人の歴史の中にどのような人権問題があったかを振り返ります。また、事例をもとにグループワークを行う内容です。

 それぞれのツールが本来は90分近くあるものを10分で紹介し、それについて修正ポイントを議論してくださいという、かなり無謀とも言えるワークショップでしたが、参加者の皆さんはワークショップの趣旨をよくご理解くださり、また熱心に議論してくださいました。『生徒・学生向け』へは、「もっと目で見て分かりやすいものを」、「本人たちの身近なところから導入していくと分かりやすいのでは」、「ロールプレイなどしてみては」・・・。

 『一般市民向け』では、「こころの病気、脳の病気、精神の病気・・・どのように伝えるのがいいのか」、「こどもより価値観ができており、改めて怖い病気だと認識されないように気をつけたい」、「コントを導入に持って来て、参加者の反応を見て進め方を変化させては」・・・。

 『専門職向け』では、「医療スタッフに向いているのでは、特に歴史的な人権侵害は伝えたほうがいい」、「事例が用意されているが、経験年数によっては自分の事例を持ち寄ってもいいのでは」、「エンパワメントの視点を盛り込んでは」など、本来は星の数ほどのご意見をいただきましたが、この報告ではエッセンスのみのご報告です。

 今回は、会場の都合もありそれぞれのツール案に対する議論の時間は圧倒的に短く、ほとんどのグループが議論半ばで次に移らなければならない状況でした。もしかしたら合宿くらいの時間が必要だったかもしれません。今回のワークショップで得られたことは、私たち権利擁護委員会がご紹介したツール案は、さらに良いものに修正されるという感触です。ワークショップに参加してくださった幅広い実践をされている方たちが、それぞれにご自分の現場で啓発活動を行うことを想定しながら、ツールの修正について議論してくださいました。また私たち権利擁護委員会も、改めて多くの方たちとの議論を通しながら自分たちの活動を振り返ることにもなりました。

 今回の議論では、まだまだなじみにくい単語を聞きながら学生が書記として奮闘してくれました(感謝です)。今後は、権利擁護委員会の作業の中で参加者からいただいたご意見や議論内容をもとに、ご紹介させていただいたツール案を修正し本協会のホームページにアップしていく予定です。「みんなで〜」や「みんなで〜解説本」と合わせてダウンロードしていただき、構成員の皆様の実践でお役に立てていただければ幸いです。私たち権利擁護委員会も、皆さんに使っていただけるようなツールに仕上げていくことに鋭意努力してまいります。

[報告者]三木良子(本協会権利擁護委員/東洋大学)


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