お知らせ

<2008/09/01>

学生無年金障害者訴訟、9月8日に最高裁弁論−精神障害者の初診日問題が争点−

 皆年金制度を目指して国民年金法が制定された際に、強制適用から除外され、「任意加入制度」となっていた学生から、多数の学生無年金障害者が生み出されました。法の主旨に反して、立法上の不備から生じた「無年金障害者」の象徴として、2001年7月に30人の学生無年金障害者が、全国9地方裁判所に提訴し、無年金者を生じさせ、放置してきた立法府と行政府の責任を問い、救済(障害基礎年金の支給)を求める取り組みが始まりました。東京地方裁判所(原告:身体障害3人)、新潟地方裁判所(原告:身体障害2人)、広島地方裁判所(原告:身体障害2人)では、違憲判決が言い渡されましたが、地裁判決を覆した東京・広島高裁の判決を支持し、最高裁判所ではこの7人の原告に対して2007年に棄却判決が下されました。

 下級審を終えた残る20人の原告は、現在、最高裁判所での公正な判決を求めているところです。

 この学生無年金障害者の裁判では、無年金の原因となったもう一つの「初診日問題」が精神障害の原告により明らかになりました。統合失調症は本人にとっても発病を自覚しにくい疾患であり、乏しい社会資源の中で家族や関係者が本人を受診に結びつけるのは至難の業であり、一般に精神障害者が受診する時期は発病からかなり経過して病状が相当に悪化してしまってからであるのが実際です。「発病した」時期を「初診日」で確認しようとする立法当時の制度設計では、発病や受傷があれば程なく受診する通常の場合が想定され、統合失調症のように、発病から医療にかかるまで長期間を要する疾患は想定されていませんでした。

 この「初診日問題」が、学生無年金障害者の裁判における重大な争点の一つになっています。

 以上のように、初診日を法の条文どおりに形式的(初めて医師の診察を受けた日)にのみ認定すれば、法の主旨に反して、多くの無年金障害者を生み出し続けることになります。東京地裁裁判所の判決(2005年10月27日原告:精神障害2人)や東京高等裁判所の判決(2006年11月29日原告:精神障害1人)等では、統合失調症の特性を考慮して、『発病し専門医にかかるべきであった時期を事後的に主治医等が判断できれば、「初診日」と認定する』という、柔軟な法解釈を認める判決が出されています。

 そして、いよいよ9月8日(月)、最高裁判所において口頭弁論が行われます。この訴訟運動には、本協会の構成員を含む関係者が長年支援活動を続けてきました。

 当日は、学生無年金障害者訴訟の関係者による傍聴や宣伝行動などが行われます。是非、ひとりでも多くの関係者にこの弁論を見届けていただき、原告や弁護団を応援くださいますよう、よろしくお願いいたします!


・学生無年金障害者訴訟の関係者による傍聴や宣伝行動などの詳細は こちら をご覧ください。
 (障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会HPへのリンク)


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