お知らせ

<2008/06/25>

【岩手・宮城内陸地震】現地情報(第7報)

※宮城県の岡ア支部長(本協会理事)から本協会に送信いただいたメール(6月25日、13時32分)を掲載いたします。本報告は、宮城県立精神医療センターの長谷諭さん(本協会構成員)から岡崎さんにご報告いただいた内容について、ご本人の了解を得て掲載しているものです。 


岩手・宮城内陸地震 心のケアチームボランティアについて(2008年6月23日)

以下活動状況をご報告いたします。

【8:30〜9:00】
精神保健福祉センターにて打ち合せ。以下を確認。
・震災2日後(16日)から昨日(22日)までは医師を中心としたこころのケアチーム2班体制にて避難所やハイリスクと思われる自宅を訪問。不眠を訴える方に対しては眠剤の処方など行なってきた。
・本日より1班体制。チーム編成はその日によって若干異なる。本日は心理士・保健師・精神保健福祉士・事務(運転手)の4名にて活動。
・栗原市内の栗駒伝承館と花山石楠花センターが避難者最も多く、本日は石楠花センター(約100名が避難している)を拠点とし活動を行う。詳細は現地の保健師と打ち合わせのうえ、決定する。
・花山地区は報道機関が多く入っており、住民の疲労にも一部影響している様子がうかがえる。避難所内での撮影は禁止しているが、外に出るとインタビューが待ち受けている。
・栗駒地区では家庭訪問のニーズがあったが、花山地区のニーズはまだ十分に把握できていない。
・6月18日から20日にかけて全戸訪問終了。
・受付には県と市の保健師が常駐し、相談などに対応している。気になるケースについてはファイル作成している。
・震災から10日目にはいり、初期からの移行時期に入っている。
・震災当初、報道機関のヘリが多く飛んでおり、住民から「落ち着いて休めない」との声があり、現在は対策本部からの申し出により、民間のヘリは飛行自粛となっている。飛んでいるのは自衛隊と警察のヘリのみ。
・日赤病院は先週一杯で撤収。医療は近くの診療所(精神科経験のある医師)と自衛隊の救護班が担当している。
・避難者は避難所での生活に少しずつ慣れてきていると同時に疲労が見え始めている。
・9:00精神保健福祉センター出発

【10:00〜10:50】
花山地区石楠花センター到着。現地保健師と打ち合わせ。
・日中は一時帰宅者が多く、避難所に残っている方は1週間前に比べると少ない。
・避難所での生活の長期化により、住民からは疲れの表情が見える。
・避難所生活者のうち2名が精神的な不調を訴えており、経過を追っている。
・現在心のケアとして定期的な訪問を行っているのは1名。
・その他現在までに心の健康相談にて関わりのあったケースの概況把握。
 →一部は児童相談所のチームにつなげるようアドバイス。
・20日までの全戸訪問で気になるケースが3件あった。本日2次として地区保健師が訪問予定。必要時、心のケアチームへの依頼を検討している。
・今後、心のケアチームに回っていただきたいケースが上がり次第、随時お願いをしたいと考えている。

本日の方針決定
・保健師の2次訪問の結果を受け、必要時戸別訪問を実施。
・それまでの間は、避難所内の巡回を行う。
・これまでにも様々な人が避難所内に出入りしているので、住民の中には話しかけられるのをよく思わない方もいるため、状況を見て慎重に対応。

【11:00〜11:40】
・避難所内巡回。家族が一時帰宅しており、留守番を任せられている高齢者の姿がみられる。地震当時のことに関しては自ら話される方はほとんどいない。
・自らは自宅へ行けないこと、自宅へ帰れる見通しがつかないこと、自宅で飼っている犬や鳥の心配などを口にする方が多かった。

【11:40〜12:20】
・児童相談所チーム到着。情報交換。

【12:20〜13:00】
・昼食

【13:00〜16:30】
・避難所内巡回。多くの住民は避難所での生活に慣れたと話すが、やはり疲れもあると。
・一緒に体操などをしながら、話を聴く。
・避難所内(日中いる方)のメンタルヘルスの問題は、現段階では顕在化していない。
・会話の中からは、集団の中では地震のことや、避難所生活で我慢していることなどについては、話してはいけないという避難者の心理状況も推察することができる。

【16:30〜17:00】
現地保健師と打ち合わせ
・保健師の2次訪問の結果、気になるケースが2つあった。
 →本日心のケアチームが帰る途中にまずは訪問してみることとする。

【17:00〜17:30】
訪問に向けての準備(訪問ルート確認、配布文書等の準備)。

【17:30】
花山地区石楠花センター出発。
途中、前述の2ケース宅を訪問。地区保健師に電話にて状況報告。

【18:45】
精神保健福祉センター到着。

【19:05〜19:40】
精神保健福祉センター内にてミーティング。本日の活動報告。明日以降の活動に向けて確認。

【19:45】
活動終了。

 民間のヘリは飛んでいないものの、それでもかなりのヘリの音が聞こえておりました。
 今後心のケアチームにおいては、戸別訪問を中心に活動していくことになるものと思われます。
 また、避難所内の一見落ち着いているようにも見える状況を考えると、環境に配慮された状況で個別に話を聞く場面の設定、メンタルヘルスについての簡単な講話など今後の活動方法を(行うか行わないかも含め)検討する必要があると感じました。
 現地での対応にあっている、保健師をはじめとするスタッフにも疲労の色がうかがえます。上記を検討するに当たり「彼らの負担を増やさない」ことを前提とした活動を考えていくこともまた重要であると思われます。

(報告者:長谷 諭さん/本協会構成員、宮城県立精神医療センター)


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