<2004/09/24>
精神保健福祉医療分野に関わる7団体では、先般公表された平成16年度の精神障害者社会復帰施設の施設整備費に係る採択率等をめぐって、9月24日(金)午後1時から、厚生労働省5階の会議室にて、矢島精神保健福祉課長等と会談し、坂口力厚生労働大臣宛に「精神保健医療福祉の拡充に関する要望書」を提出しました。
会談の中で、矢島課長は、冒頭に「関係団体の激励には感謝申しあげたい」としながら、三位一体改革の動きをから、要望事項1については「施設整備費に係る財源は一般財源化の方向。補助金による施設整備の必要性は訴えていくが状況は厳しい」との説明となりました。要望事項2についても「今年度は補正も含めて予算がなく、これ以上の回答はできない」と厳しい状況が訴えられました。また、要望事項3については「予算確保できるよう努力する」との回答でした。
関係団体からは「三位一体改革において精神保健福祉分野からの頑張りが必要。地方六団体との協議等も検討しながら、精神保健福祉課と関係団体が力を合わせるとき」や「一般財源化により地域格差が更に拡がる。地方六団体の現場担当者はそれを望んでいないとの声も聞いている」等の意見に、矢島課長からは「精神障害者施策の遅れは充分認識しており、何とかしたい。一般財源化にならない方法を検討しているが、代替案を求められる可能性もある」として「地方六団体の提案内容と問題点を精査する必要がある」と述べられました。また「厚生労働大臣の交代もありえる状況の中で、もう少し時間が必要。情報は日々変化している」とされました。
地方分権や三位一体改革における国庫補助負担金改革、介護保険制度の見直しの議論のなかで、精神保健福祉をはじめ障害保健福祉行政は大きなターニングポイントにあり、関係団体では今回の要望や会談で終わらすことなく、確かな情報を基に、継続かつ集中した協議の場の必要性を確認しました。
■出席者(敬称略)
<厚生労働省>
矢島鉄也(精神保健福祉課長)、坂崎 登(精神保健福祉課社会復帰対策指導官)、原渕 明(社会復帰施設係長)
<関係7団体>
・全国精神障害者社会復帰施設協会:新保祐元(理事長)、荒井 洋(事務局長)
・全国精神障害者家族会連合会:桑原 清(理事)、矢野 篤(事務局)
・全国精神障害者地域生活支援協議会:大友 勝(代表)
・日本精神科看護技術協会:大森秀夫(専務理事)
・きょうされん:藤井克徳(常務理事)、多田 薫(事務局長)
・全国精神障害者団体連合会:有村律子(事務局長)
・日本精神保健福祉士協会:高橋 一(会長)、坪松真吾(事務局長)
2004年9月24日
厚生労働大臣 坂 口 力 様
社会福祉法人 全国精神障害者社会復帰施設協会
理事長 新 保 祐 元
財団法人 全国精神障害者家族会連合会
理事長 小 松 正 泰
社団法人 日本精神保健福祉士協会
会 長 高 橋 一
NPO法人 全国精神障害者地域生活支援協議会
代 表 大 友 勝
社団法人 日本精神科看護技術協会
会 長 藤 丸 成
きょうされん
理事長 立 岡 晄
NPO法人 全国精神障害者団体連合会
理事長 山崎 多美子
貴職におかれましては、精神障害者の諸施策の充実にご尽力いただき、こころから感謝申しあげます。
この度、3検討会の検討結果を踏まえ、「入院医療中心から地域生活支援を目的に、立ち遅れた精神保健医療福祉体系の再編と基盤強化」を目的に、今後10年の精神保健医療福祉の改革ビジョンを策定されたことに、私たちとしても大いに期待できる内容であると評価しているところです。
しかし、厳しい財政事情の下とはいえ、平成16年度の精神障害者社会復帰施設の施設整備費採択率は低い水準にとどまっていること、三位一体改革の中で精神障害者社会復帰施設の一般財源化等が「地方6団体」から提案されている等、喫緊の課題である精神保健医療福祉施策の後退を強く懸念しているところです。
こうした中にあって、精神保健医療福祉関係の平成17年度概算要求は、施策充実に対する精神保健福祉課の強い決意を示す内容で高く評価できるものです。
私どもといたしましては、精神保健医療福祉の充実を図るため、下記の事項が必ず実現するよう強く要望いたします。
記
1.精神保健福祉施策については、一般財源化されることなく、国の責任においてこれを推進してください。
2.今回不採択となった施設整備費補助金について、年度内にすべて救済(復活採択)してください。
3.精神保健医療福祉関連の平成17年度概算要求を確実に実現できるようにしてください。