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<2004/07/20>

介護保険見直し、ケアマネジメントの充実前面に 支援費統合は両論併記

 厚生労働省は16日、来年の介護保険制度見直しに向けた報告書案を、社会保障審議会介護保険部会に示した。制度の持続可能性を高めるため、思い切ったサービス給付の効率化・重点化を進める必要があるとして、制度全体を「予防重視型システム」へ構造転換させることを提案。そのシステム確立のため、ケアマネジメント体系の強化の必要性を前面に押し出している。焦点になっている障害者福祉の支援費制度との統合については、積極論と消極論の両論併記とした。

 委員らからは、予防給付の責任主体やサービス給付の範囲、本人負担などについて意見が噴出した。30日にある次回部会か8月頭までに報告書をまとめる。秋以降、各論を詰めて来年の通常国会に法案を提出する。

 報告書案は、予防重視の考え方について、高齢者の自立支援という介護保険の基本理念からすれば、介護サービスが要介護状態の改善や悪化防止のために提供されるのは当然の前提、と説明。

 「新・予防給付」という新しいシステムを作り、筋力トレーニングや口腔ケアなど科学的に効果が実証されているメニューをサービスに取り入れて、軽度要介護者に即時的・重点的に給付、心身状態の悪化を防ぐ案を示した。

 医療と介護の関係については、在宅・病院・施設など場所が移ることで医療と介護の連携が失われることのないよう、多職種連携を進める必要があるなどとした。特別養護老人ホームなど、施設で終末期を迎える人が増えたことにも言及、ターミナルケアを充実させるため、施設外の医療機関や訪問看護サービスを利用する場合の報酬なども、検討課題に挙げている。

 被保険者の範囲を40歳以上から20歳以上に拡大することと絡んで議論になっている障害者の支援費制度との統合については、国民的な議論が求められるとするにとどめ、結論付けなかった。

 積極論として「介護ニーズは高齢者に限ったものではなく、年齢で区切ることは不合理」「介護保険財政が安定する」、消極論として「障害者施策は全額税で行うべき」「支援費制度の導入からまだ一年で検証が十分でなく、統合は時期尚早」などの意見を記している。

  当局案の要点は次のとおり

○介護予防
  高齢者の状態像を「脳卒中モデル」「廃用症候群モデル」「痴呆モデル」に分類。多様なアプローチを行う。軽度要介護者に介護予防サービスを即時・集中的に給付する。

○施設サービス
  ホテルコストの範囲や水準について検討。個室・ユニットケアの普及をはかる。

○在宅サービス
  家事代行は利用者や期間を限定。通所系は「リハビリ中心型」「痴呆対応型」「社会参加型」など機能別に再編。

○ケアマネジメント
  ケアマネジャーの現任研修を義務化。更新制を導入。独立性・専門性を高めるため、標準担当件数基準や報酬を見直す。

○事業者規制
  指定更新制を導入。指定取り消し履歴を追加するなど、罰則を強化する。(JMA PRESS NETWORK・07/16)


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