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<2004/06/28>

介護保険との統合は「現実的な選択肢の一つ」 部会長案提出へ

 2005年度の介護保険制度見直しの焦点である障害者支援費制度との統合について、社会保障審議会障害者部会は25日、介護保険の仕組みを活用することは「現実的な選択肢の一つ」とする部会長案をまとめた。介護保険ですべての障害者福祉サービスをカバーするのではなく、介護保険とそれ以外の障害者向けのサービスを組み合わせて、障害者への支援体制を整える必要があるとしている。来週28日にある介護保険部会に投げかける。

 介護保険と障害者福祉の統合論は、介護保険制度の見直しが始まった年初から取りざたされていたが、これまで障害者部会としての意見はまとまっていなかった。介護保険部会は「障害者側が統合したいと言ってこない限り議論しない」としており、障害者側の結論待ちとなっていた。今回も部会としての中間報告はまとまらず、京極高宣部会長(日本社会事業大学学長)の私案として、介護保険部会に出すことで決着。障害者部会が一応の投げかけをすることで、ようやく双方向の議論が動き出すことになる。

 ただ、障害特性を踏まえたサービスが提供できるのか、利用者負担が重くなるのではないか、などの懸念は根強い。要介護認定やケアマネジメントをどう行うのかといった課題もある。また財源確保を理由とした統合には、保険者である市町村長会や経済団体も強く反発しており、曲折が予想される。

 部会長案は、誰もが障害者になりうる、また年負いることを考えると、障害の有無や年齢に関係なく、地域で安心して暮らせるように支え合うという考え方が重要と指摘。その上で、国民の共同連帯の理念を持ち、かつ給付と負担の関係が明確な介護保険制度の仕組みを使うのは現実的な選択肢、とした。

 部会では、この部会長案について賛否両論が噴出。「最初から統合ありきで、議論の順番がおかしい。財政問題だけで統合が妥当というなら反対。支援費制度の再生という選択肢もあるはずだ」(丹下一男・NPO法人障害者雇用部会顧問)、「障害福祉業界の人間だけで話し合うのではなく、いろいろな人に広く意見を聞くべきではないか」(広田和子・精神医療サバイバー)などの意見が出たが、介護保険部会に統合の議論を促すという点では全員が一致した。

【支援費制度】2003年4月にスタートした身体・知的障害者が対象の制度。精神障害者は入っていない。障害者が自分で使いたいサービス事業者を選び契約できる。国は初年度、500億円以上の補助金を確保していたが、利用の伸びがそれを上回って128億円が不足。同省の他の予算から調達してまかなった。今年は602億円の予算を組んでいるが、当局は昨年度以上に不足するとの見通しを示している。(JMA PRESS NETWORK・06/25)


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