<2004/05/19>
厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会は14日、制度見直しの骨子案取りまとめに向け、予防給付と財源問題についての議論を掘り下げた。要支援・要介護1など軽度要介護者に予防サービスを導入することには、対象を限定すべきか、財源をどうするかで意見が分かれた。ひっ迫する介護財政については、「制度の持続性」は確保すべきとの見方は一致しているものの、保険者からは「負担増は受け入れられない」と強い反対が出ている。
6月末にある次回部会で骨子案が出される予定。障害者向け介護サービスを介護保険に含めるかについては、障害者部会の結論を待つ。
この日の審議では厚労省老健局が、新設される「介護予防サービスシステム」のたたき台を示した。対象は要支援・要介護1の高齢者。アセスメント(査定)、プラン作成という手順を経て、介護予防プログラムを受けてもらい、定期的に査定―という流れになる。「転倒・骨折予防」「筋力向上トレーニング」「痴ほう予防」など6つのプログラムが考えられている。従来のケアマネジャーの仕事にあたる「介護予防マネジメント」は在宅介護支援センターが担当、市町村が責任主体―としている。
審議では、利用者側の委員から「高齢者はみな介護予防を考えている。要支援、要介護1とやられると予防給付の範囲をかえって狭めるのでは」(見坊和雄・全国老人クラブ連合会副会長)と範囲の限定を懸念。サービス事業者側も「従来のサービスに取って代わるものなのか、加わるものなのか」(中田清・全国老人福祉施設協議会副会長)などと整合性を正した。
財源問題については、保険者である市町村が「まずは給付の適正化を。市町村は負担増には耐えられない」(喜多洋三・全国市長会介護対策特別委員会委員長)などと明言。保険料徴収対象を広げることには、すでに経済関連団体などが反対しているが、一方で「早く定めないと、結局財政の論理で押し切られてしまう」など懸念する意見も出ている。(JMA
PRESS NETWORK・05/17)