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<2004/04/27>

介護保険と障害者支援費の統合めぐり紛糾 社保審介護部会

 介護保険制度の抜本見直しを進める厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会は26日、最後のヤマとなる「被保険者の範囲」の議論に入った。現在40歳以上としている保険料徴収の年齢を、30歳または20歳まで拡大することと、それに伴って障害者福祉の支援費制度を介護保険に統合するかが焦点だが、部会は障害者への介護サービスを介護保険で提供することへの疑問で、紛糾。保険料徴収の対象は拡大しても、統合は先に議論を送るべき、という意見も出ている。

 平行して進んでいる障害者部会の動きを見つつ、話し合いを続ける。当初は7月に報告書をまとめる予定だったが、8月にずれこむ見込み。

 介護保険には、制度作りを進めていた1996年に、高齢者介護だけを対象にするのか、介護が必要な人すべてにするのかを議論した経緯がある。当時は高齢者介護の社会化が最優先だったため、給付は高齢者、保険料徴収は「親の介護を担う世代で理解が得られる」として40歳以上が対象となった。

 障害者福祉は、2003年に支援費制度を導入(精神障害を除く)している。行政による「措置」制度から、利用者自身がサービスを「選択」できるようになったが、ケアマネジメントが制度化されていなかったり、所得に応じた費用負担だったりしたため、利用が激増。1年間で3割の利用増を見込んでいたのが、実際は6−7割増え、緊急の見直しを迫られている状況にある。

 部会では、支援費との統合と、保険料徴収対象の拡大を一緒に論じる矛盾を指摘する声が続出。「支援費が始まって1年足らずでどうしてそういう議論になるのか」(山本文男・全国町村会会長)、「支援費より(被保険者の範囲を)40歳から20歳にする問題をどうするのか、金が足りなくなったらどうするのかを話し合うべき」(田近栄治・一橋大学大学院教授)といった声が飛んだ。

 「国は障害者の制度改革の遅れを介護保険で何とかしようとしている」と批判した見坊和雄・全国老人クラブ連合会副会長は、「まず支援費制度を公的な社会保険にすることが前提。社会保険同士ならば統合も何とかなると思うが、(税財源の)支援費と(社会保険財源の)介護保険とではどうしようもない」と論じた。

 障害者支援費との統合を議論する必要について、厚労省の中村秀一老健局長は、障害者向け介護サービスに地域偏在が大きいこと、65歳以上の身体障害者の大半が支援費ではなく介護保険のホームヘルプサービスを利用しており、介護保険が障害者のニーズに応えている実情などの関連を説明。「厚労省の立場から率直に申し上げると、支援費制度には相当な問題がある」とし、「立ち遅れた障害者福祉に対して、介護保険の枠組みを壊さない中で何がやれるかを考えたい」とした。(JMA PRESS NETWORK 2004-04-27 14:12:45)


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