<2005/01/13>
【2,000名が集った会場の写真】 |
【緊急アピールの写真】 |
2005年1月12日(水)、「障害者地域生活支援システム確立全国緊急集会」実行委員会主催による「障害者地域生活支援システム確立全国緊急集会−介護保険制度の利用で実現を求める−」が、日比谷公会堂(東京都千代田区)にて開催されました。
13時開会にもかかわらず、12時の開場と共に大勢の方々が来場され、12時30分過ぎには2,000席がほとんど埋まっている状態でした。
松友氏(全日本手をつなぐ育成会常務理事)の司会により13時に開会され、実行委員長の児玉明氏(日本身体障害者団体連合会会長)の主催者挨拶の後、実行副委員長の藤原治氏(全日本手をつなぐ育成会理事長)が基調報告にて今までの経緯と今日の緊急集会の意味について話されました。
来賓として、尾辻秀久厚生労働大臣を始め、多くの国会議員が熱意ある挨拶をされ、予定の時間をはるかにオーバーするほどで、この熱意を本当に政策に反映して下されば、障害者福祉の今後は明るいものになるに違いない!と思わせてくれるものでした。
主催団体から12名、協賛団体から2名の方々がそれぞれの立場から、「施設利用料は福祉施策の後退になる」「福祉と雇用の連携を!働く場の保障を!」「障害のあるなしにかかわらず、全ての人が安心して生活できる社会を!」「福祉施設を始めとする地域格差をなくして欲しい」「グランドデザインは心ない施策である。財政難が根底にあるもの。福祉の後退の危惧を抱かざるを得ない」「利用者負担を世帯や保護者にまで広げるのはいかがなものか?本人のみを対象とするべきである」「施設の類型化を見ると、本当に現実に即したものとは思えない。本人が自ら選択できるものを!」などの発言をされました。
途中、塩田幸雄部長(厚生労働省社会援護局障害保健福祉部)が参加され「グランドデザインは、これからの設計図としてのものであり、骨格である。肉付け・壁作り・内装・道作りなど、いろいろとこれから作っていくものである。介護保険は障害者福祉の基盤強化に必要なものである」などの発言をいただきました。
その後、緊急アピールの採択を松井逸郎氏(日本身体障害者団体連合会理事)により行われ、実行副委員長の小松正泰氏(全国精神障害者家族会連合会理事長)の閉会挨拶により閉会となりました。15時閉会予定でしたが、40分近くオーバーしての閉会となりました。
塩田部長の発言通り、グランドデザインが骨格であり、これから肉付け等を行っていくとのことであれば、その言葉が絵に書いた餅で終わることなく、ひとりひとりに合ったサービスが提供できる施策にしていくために、「財政難ですから!」という言葉を葵の印籠とさせないようにお互いに連携を取り、サイズの合わない靴を我慢して履くようなことのないように、厚生労働省を始めとして、多くの方に働きかけていくことが大切と感じました。
【緊急集会の6つの柱】
1.就労と年金による所得保障の充実を!
2.利用者負担は、個人単位で!
3.地域の中での住居の場が得られるように!
4.外出や移動の手段が保障されるように!
5.介護保険制度の活用を障害者もできるように!
6.郵便料金の減免制度の存続を!
「障害者地域生活支援システム確立全国緊急集会」実行委員会
<構成団体>社会福祉法人日本身体障害者団体連合会、社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会、財団法人全国精神障害者家族会連合会
【協賛】
社会福祉法人日本盲人会連合、財団法人日本ダウン症協会、社会福祉法人全国心身障害児福祉財団、社会福祉法人全国精神障害者社会復帰施設協会、特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会、全日本特別支援教育推進連盟、特定非営利活動法人 全国地域生活ネットワーク
今、障害のある人をめぐる動きは、激しく揺れています。財政危機の名のもとに、社会保障制度そのものが、厳しい議論の前に立たされています。しかし私たちは、見失ってはいけないこと、譲ってはいけないことをはっきりと掲げ、広く国民一般へ訴えたいと思います。それは、「障害があるなしに係わらず、地域の中で働き暮らすことを、当たりまえとする」ことです。
しかしながら、それを可能にするには、確かな支えが必要です。そしてそれは、国民相互の自発的な関わりを基本としながらも、確固とした財源に裏打ちされた、システム(制度)でなければ、なりません。それが今、不安定になろうとしているのです。そのため私たちは、今日ここに集い、その重要性を確認しながら、広く社会にアピールするものです。
私たちは本日、とくに次の項目について、国民の皆さまの理解と支援を訴えます。
まず第1に、就労と年金による所得保障の充実です。障害者の地域での自立生活は、所得保障が前提になります。福祉と雇用の連携により、精神障害者を含めた就労支援策を充実する必要があります。また、年金・医療・介護にわたる社会保障制度の一体的な見直しや税制の抜本改革の中で、地域の中で暮らす障害者の障害基礎年金の引き上げは急務であります。
第2に、利用者負担は、個人単位でお願いします。障害者福祉の利用者負担は、自立した一個の人格を尊重して、個人単位を貫徹し、「扶養義務」や「世帯」の考え方を撤廃すべきです。
第3に、地域の中での居住の場が得られるようにしていただきたい。地域生活を送る上では、居住の場についても、多くの選択肢が望まれます。とくに、公営住宅の活用が重要な課題です。
また民間住宅を借りる際の保証人の問題もあります。グル−プホ−ムや地域生活への移行のための自立訓練事業等も今後の課題であり、これらを含めた居住支援の充実が重要になります。
第4に、外出や移動の手段の保障を求めます。日常生活のさまざまな場面で、外出や移動が必要になります。これらが困難な障害者について、移動を支援するサ−ビスの確立が不可欠です。
第5として、若年障害者への保険制度の活用を強く求めます。今度の国会では、「障害者自立支援給付法」と「介護保険法改正法」が提出されます。障害者の支援制度は、特別なニ−ズに対応する<障害福祉>と介護に対応する<介護保険>の2つを車の両輪とする方法が最良の策と考えられます。今回、こうした改正がなされなければ、障害者は再び介護保険制度から置き去りにされます。介護保険の活用は、今後の障害者福祉にとって不可欠なことです。今こそ私たちは、障害者自立給付法とともに介護保険制度を活用できるシステムを求めたいと思います。
さらに、第6として、郵便料金の減免制度の存続を訴えます。コミュニケ−ションの保障や情報の伝達・入手の手段として、郵便は大きな役割を担っています。今後、郵便事業が民営化されたとしても、第3・第4種郵便制度による料金の減免制度は、存続されるよう求めます。
以上、私たちからの社会への緊急のアピ−ルとします。
2005年1月12日
障害者地域生活支援システム確立全国緊急集会
参加者一同